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エピローグ
87きゅん
しおりを挟む「真梨亜、ん、良い香りだね」
普段は「さん」付けの名を短く呼び捨てれば、彼女は僕を一層強く締め付けて悦ばせてくれる。
「たい、ぎッ、ぐ、あ、アっ♡」
「ここだよね、ん、あー、気持ち良い」
「ひン…あ、らめ、また、キちゃう、キちゃ、ゔッ♡」
体はアメリカ人でも心は日本人の彼女は言葉だって生活様式だって僕とそう変わりは無い。
けれど本能に刷り込まれた感覚や趣向は本人の自覚無しに内在していた。
僕はオーガズムを感じる時「イく」と表現するけれど彼女は「クる」と感じるそうで、こんなところで異文化を垣間見れるなんてねと興味深い。
「うん、いっぱい、真梨亜、ここ、何だっけ?」
「vagina、あッ♡」
「ん、いっぱいにするよ、良い?」
「ちょうだいッ♡大輝くん、あ、いっぱいにして、あ、あ♡♡♡」
「わー、ん♡♡♡」
彼女は僕とひとつになる時「いっぱい」とよく漏らすのだが、それは他のことを考える余地が無いとか物理的に満タンであるとかどちらの意味でもあるらしい。
いずれにしても可愛い表現だと思う。
スキン越しではあるけれどお望み通りたっぷりと射精して膣内を間接的に僕のDNAで満たして、ずるり引き抜けば彼女は釣りたての魚みたいにぴくぴく疼いてやがてくたっと脱力した。
「あ、あ…」
「すご…真梨亜さん、前より気持ち良くなってる」
「…そ…ぉ…」
「いっぱい出た…良いよ、寝てて」
「…大輝くん、遠慮が無くなった…はぁ…男らしくって素敵…」
「ありがと…はぁ……明日、緊張するなぁ…」
就職して数年経つが彼女はいまだに横浜の店舗で働いていて、僕は横須賀の方の店舗へ異動になり甕倉市の実家から通っている。
デートの頻度は相変わらずと言いたいところだが、法人事業部は企業の稼働日に合わせているため大抵の会社が休んでいる土日祝は閑古鳥だ。
なので電話番をしたり家電側のヘルプに入ったりもするのだが社員が1人居れば事足りるわけで、僕は土日のどちらかに休日が集中してしまい平日休みの彼女とはなかなか会えなくなってしまった。
たまに休みを合わせて泊まりがけのデートをして、しかし宿泊先は言わずもがなのラブホテルなわけで彼女には申し訳なく思っている。
もちろん翌日は朝からカフェやお洒落ランチを楽しむのだが、どうしても仕事の話題が出てきてしまいどんより重い空気になることも多く、せっかくの時間が勿体なく感じていた。
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