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2章
9きゅん
しおりを挟むそしてあの合同説明会から数日、真梨亜は地道になんでもない内容のメールを大輝へ送りつけていた。
『休みの日はどんなことしてるの?あたしは動画観ながらお菓子作ったり運動したりしてる』
「……なんて返そうかな」
真梨亜は情報を聞き出そうといろんな質問をしてくるのに対して、大輝は一度会ったきりの異性にどこまで踏み込んで良いものかと気を揉んで返信が遅れがちである。
挨拶とはいえハグして頬にキスまでされた仲だ。
意識するあまり親しくなり過ぎて好きになってしまっても後々が惨めな思いをせねばならない。
「そんなつもりじゃなかった」「世間話のうちに勝手に好きになられただけ」…言われたことは無いがそんな言葉を投げつけられたらこの先とてもじゃないが恋愛をする気にならないだろう。
「パーソナルスペースが狭い子なのかな…欧米式の挨拶するくらいだし…てかそもそも彼氏とか居るだろうな」
大輝はモテる容姿はしていないし、気は優しくて力持ちタイプだがその魅力は同年代の女子には発揮する機会が無く彼女もできたことが無い。
そもそも恋愛というものに関心が低く、卑下する訳でも無いのだが自分に無条件で恋してくれる女性などいはしないと決めてかかっていた。
「既に働いてて高収入とかならともかく…何の目的で僕に連絡してくるんだろ…」
助けたお礼なら自動販売機のコーヒーで返してもらった。
なんならあのキスハグでこちらが支払わなければならないくらいだ。
もしかしてハニートラップとかいうやつかな、大輝は
『筋トレとか走り込みしてるよ。それくらいしかすることないんだ』
と送信して様子を見る。
それから大輝が風呂に入って寝る準備をしてベッドへ入ってメールチェックをすると、
『あたしもジョギング好き!一緒に走ろうよ!』
と真梨亜からお誘いが入っていた。
「……なんの罠だ」
同じ市内と言うだけで住む場所も離れているのに走るためにわざわざ待ち合わせるのか。
返答に困った大輝はとりあえず先延ばしにして眠ることにする。
返信が来なければ真梨亜は「もう寝たのか」と諦めるだろう。
もしくは「遠回しに断られちゃった」と察して連絡が途絶えてしまっても都合が悪くはない。
いずれにしてもまた会う理由が分からないのだ。
無闇に触れ合って好きになってしまいたくない…大輝は羽毛布団で頭まで覆い意識を遠くへやった。
つづく
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