8 / 92
2章
8きゅん
しおりを挟む「…姉さん、さっきのさ、言ってた…助けてくれた人?sex中だから勢いであぁは言ったけど…その、自分を安売りしちゃダメだからね」
仲良く作ったオムレツにナイフを刺して、礼央は自身を棚に上げぽつりそんな心配を口にする。
「うん…もちろんだよ、そんな度胸無いもん」
「でもね、軽いガイジンのノリの方が近付くのは簡単だと思うよ」
「やっぱり?でももう結構素のまま話しちゃった」
「でも好意は伝えて無いでしょ?強引な女ぶってグイグイ行きなよ」
「え、でも安売りしちゃいけないんでしょ?」
真梨亜は均等に分けた残り物の麻婆の小鉢にご飯を落とし、ぐりぐり混ぜながら弟に目線だけ合わせた。
「coupleになって、見極めてからスれば良いんだよ。早まるなって言いたかったんだ」
「ふーん…礼央は経験豊富なのねー」
「お姉さまに教えてもらったんだよ♡」
「んー」
ボディータッチが異性に有効なことは真梨亜だって知っている。
なんなら小学生時代からそれが効果覿面だということも分かっている。
ブラジル系アメリカ人の母から譲り受けた真梨亜の身体は発育が早く、良い意味でも悪い意味でも昔から目立っていた。
出るところは前と横へ張り出し主張が強い。
特に尻など大き過ぎる訳ではないがトップが高くウエストからのくびれ勾配が急で、制服のスカートの後ろが浮いてしまう。
なので知り合いのテーラーにお願いして『穿いた状態で裾が水平になる』ように加工してもらったりもした。
角から飛び出して来た変質者に胸を触られたこともあったが、交番のお巡りさんから不当な扱いを受けて泣き寝入りしたこともある。
「そんな体型してたら触りたくなるだろうね」というようなことをやんわり言われて、悔しくて誰にも言えずひとり耐えたのだ。
電車通学では痴漢にも遭ったし外国人からのナンパも増えてきた。
合コンに行けば日本人からでも熱烈なアプローチを受けたりもするがどうも『ガイジンを従える自分』に酔っているようで気が向かない。
「(連れて歩いてstatusになるような女になりたくないの…ゆったり…ほのぼのしてたい…)」
成人してからは人を見る目が出来てきたし自衛も万全のつもり、今日の髪と眼を責められたのは予定外だったがそれも今後の対応次第では苦にならないのではと考えていた。
真梨亜は大学では英語や国際交流に関しての勉強をしていて、当然就職にもそのスキルを生かそうとしている。
髪色が気にならない職種を選んでもいい、見た目を気にしないほど実力主義の企業を選んでもいい。
ただ自分がそこまで有能かと聞かれればあまり自信は無くて、バリバリ英語を使用する職種にも残念ながらまだ関心が薄かった。
「ねぇ礼央、好きな人と同じ会社を選ぶって…不純かな?」
「良いんじゃないの?それがmotivationになることもあるよ」
「そっか…選考は6月からなの…ちょこちょこ連絡して動向を押さえておこうかな」
「stalkerにならないようにね」
「うん…気をつける」
・
不安も多い就職活動に差したひと筋の光、真梨亜は寝る前に今日貰った企業の資料をもう一度開いて深く読み込む。
「開発とか行かれたら…追いかけらんないかも…」
別に必ずしも同じ会社に入ることなんてない。
けれど傍に居ると思えば不条理なことだって耐えられそうだし第一毎日が楽しくなるだろう。
「…彼女…いるのかな…あんなに素敵だからいるよね…聞けば良かった…社会人になって誰かに取られちゃうのも嫌ぁ…ツバ付けときたい…そだ、mailしよ」
『こんばんは。大輝くん、突然だけど彼女とかいたりする?』
真梨亜は何回も打っては書き直して結局直球の質問をメールにて大輝へ送り付け…
『こんばんは。残念ながらいないよ。』
と返事が来れば珍しく英語で
「YES‼︎」
と両手を掲げ、幸福の中で眠りについた。
0
お気に入りに追加
19
あなたにおすすめの小説
どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~
さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」
あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。
弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。
弟とは凄く仲が良いの!
それはそれはものすごく‥‥‥
「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」
そんな関係のあたしたち。
でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥
「うそっ! お腹が出て来てる!?」
お姉ちゃんの秘密の悩みです。
サンタクロースが寝ている間にやってくる、本当の理由
フルーツパフェ
大衆娯楽
クリスマスイブの聖夜、子供達が寝静まった頃。
トナカイに牽かせたそりと共に、サンタクロースは町中の子供達の家を訪れる。
いかなる家庭の子供も平等に、そしてプレゼントを無償で渡すこの老人はしかしなぜ、子供達が寝静まった頃に現れるのだろうか。
考えてみれば、サンタクロースが何者かを説明できる大人はどれだけいるだろう。
赤い服に白髭、トナカイのそり――知っていることと言えば、せいぜいその程度の外見的特徴だろう。
言い換えればそれに当てはまる存在は全て、サンタクロースということになる。
たとえ、その心の奥底に邪心を孕んでいたとしても。

ちょっと大人な体験談はこちらです
神崎未緒里
恋愛
本当にあった!?かもしれない
ちょっと大人な体験談です。
日常に突然訪れる刺激的な体験。
少し非日常を覗いてみませんか?
あなたにもこんな瞬間が訪れるかもしれませんよ?
※本作品ではPixai.artで作成した生成AI画像ならびに
Pixabay並びにUnsplshのロイヤリティフリーの画像を使用しています。
※不定期更新です。
※文章中の人物名・地名・年代・建物名・商品名・設定などはすべて架空のものです。
百合ランジェリーカフェにようこそ!
楠富 つかさ
青春
主人公、下条藍はバイトを探すちょっと胸が大きい普通の女子大生。ある日、同じサークルの先輩からバイト先を紹介してもらうのだが、そこは男子禁制のカフェ併設ランジェリーショップで!?
ちょっとハレンチなお仕事カフェライフ、始まります!!
※この物語はフィクションであり実在の人物・団体・法律とは一切関係ありません。
表紙画像はAIイラストです。下着が生成できないのでビキニで代用しています。


社長室の蜜月
ゆる
恋愛
内容紹介:
若き社長・西園寺蓮の秘書に抜擢された相沢結衣は、突然の異動に戸惑いながらも、彼の完璧主義に応えるため懸命に働く日々を送る。冷徹で近寄りがたい蓮のもとで奮闘する中、結衣は彼の意外な一面や、秘められた孤独を知り、次第に特別な絆を築いていく。
一方で、同期の嫉妬や社内の噂、さらには会社を揺るがす陰謀に巻き込まれる結衣。それでも、蓮との信頼関係を深めながら、二人は困難を乗り越えようとする。
仕事のパートナーから始まる二人の関係は、やがて揺るぎない愛情へと発展していく――。オフィスラブならではの緊張感と温かさ、そして心揺さぶるロマンティックな展開が詰まった、大人の純愛ストーリー。
クラスメイトの美少女と無人島に流された件
桜井正宗
青春
修学旅行で離島へ向かう最中――悪天候に見舞われ、台風が直撃。船が沈没した。
高校二年の早坂 啓(はやさか てつ)は、気づくと砂浜で寝ていた。周囲を見渡すとクラスメイトで美少女の天音 愛(あまね まな)が隣に倒れていた。
どうやら、漂流して流されていたようだった。
帰ろうにも島は『無人島』。
しばらくは島で生きていくしかなくなった。天音と共に無人島サバイバルをしていくのだが……クラスの女子が次々に見つかり、やがてハーレムに。
男一人と女子十五人で……取り合いに発展!?
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる