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6章
27きゅん
しおりを挟む「…姉さぁん、帰ってるの?」
「……」
怠そうな弟の声から真梨亜は寝起きか『事後』だと察し、押し入られないよう扉に尻を付けてドアノブを手で押さえた。
「うん、ただいま…大輝くん、ごめん、弟よ…」
「へ…?」
ただの弟の登場にここまで警戒するもんかな、こっちが真っ只中で裸を見られたくないとかならまだしも。
大輝は真梨亜の憮然とした表情からそんなに面倒な兄弟なのかと緊張する。
姉弟仲や習慣などは知らないが姉の部屋にずかずか入って来るほど幼い少年の声では無かった。
彼女を連れ込むと言っていたことからもある程度青年であることは確かであろう。
「帰ったなら挨拶してくれなきゃ寂しいじゃんか」
「ごめんね、静かだったから勉強中かと思ったの。…友達が来てるから変なことしないで」
「何だよ変なことって?寝てたんだよ、運動して疲れたから………え、友達って、あの噂の彼氏?」
「まだ彼氏じゃない、放っておいて」
「あぁそう、彼氏さーん、こんにちは!弟の礼央です」
礼央は軽薄に軽快に扉の向こうの大輝へと挨拶を投げた。
彼氏か否かの論争をここですれば真梨亜を傷付けるかもしれない、大輝は
「あ、こんにちは!お邪魔してます、今泉大輝です」
と通る声で返す。
「へぇ…最近姉さんが貴方の話ばっかりするんだ、『カッコいい』『gentleだ』『handsomeだ』って…良い声だけど、どんな顔してんの?昭和の俳優みたいな顔って聞いてるけど見せてよ」
「え、ご期待に添えるかな」
もう大輝のイメージは礼央の中でも和風イケメンで優しくて紳士でと固まっているらしい。
姉弟揃っての過大評価でがっかりさせることは分かっているので、大輝は多少遠慮というか自虐も差し込み何があってもジョークで済むよう自衛を図った。
「大輝くん、応えなくていい…礼央、ちゃんとした格好してる?」
「やだなぁ、sexの正装が裸以外にあるの?」
「……誰か来てるの?靴は無かったけど」
「部屋の中にね。脱がす手間も惜しかったんだ♡」
「そう、部屋に戻りなさい」
「んー…また後で声掛けてね……リョーコさーん…」
軽い足音が遠ざかるも扉の閉まる音は聞こえず、数秒後にはリョーコさんとやらの甘い喘ぎ声がこちらの室内にまで届く。
呆気に取られた大輝はポカンと開口したまま真梨亜へ顔を向け、
「大輝くんごめん、耳塞いでて…弟は変態なの」
と吐かれると
「はぁ」
と妙な納得で全てを納めた。
「たぶん開けっ放しで始めちゃったの…はぁ…しばらく出らんない…」
「そっか…奔放なのかな、何歳?」
「今年18…高3、早熟でしょ…」
「平均は分かんないけど…あの、テンションが変な…お、お酒とか呑んでないよね?」
「たぶん素面よ、drugもしてない…たぶん」
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