真梨亜さんは男の趣味が残念だ

茜琉ぴーたん

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4章

17きゅん

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 そこからはなごやかに食事が始まり、真梨亜は最初こそモゴモゴと、しかしだんだんと調子が出て来た。

「カッコいいの、男らしい眉毛でね、がっちりして…今日会いに行ったんだけど…さりげなくlady firstレディーファーストできるの、ごはん奢ってくれてね、日陰にあたしを座らせてくれるの、でも……一目惚れしたって言ったんだけど取り合ってもらえなかった」

「あらら…フラれた?」

「…む、向こうが『またね』って言ったのよ、でも…社交辞令だったみたい…間に受けちゃって恥ずかしい……でも、優しいし、あたしの髪のこと『キレイ』って、褒めてくれて……嬉しかったの」

「その子、singleシングルなの?そんなに男前なら慣れてそうだけど」

「異性は対応が分かんないって言ってたけど…でもescortエスコートsmartスマートだし絶対嘘よ、それか日本人得意の謙遜けんそんよ、だってあんなに素敵なんだもん、モテるはず…うー」

真梨亜は都合良く民族的な線引きをしては自分の意見が正しいのだとプレゼンする。

 家族は「そんなにイケメンならモテるだろうし、けれど主張しない奥ゆかしい男性なのかな」と何となくの大輝のイメージ像を脳内に描いた。

 がっちりとは言えども流行りの細マッチョなのだろう。

 太い眉とは言え自然に整えた正統派日本男児なのだろう。

 膨れ上がる想像図と本物のギャップ、当の本人は誇大妄想されていることなんて知る由もない。


「姉さんがこんなになるなんて珍しいね」

papaパパjealousyジェラシーだナ」

 礼央れおと父は顔を見合わせては急に色気付いた真梨亜の艶っぽさに目を引かれる。

 ラッセル家においては家族を褒め称えるのが慣習ではあるのだが、それにしてもここ最近の真梨亜の輪を掛けた華やかさには肉親とはいえときめいていたのだ。


「その子とはもう会えないの?」

「ううん、友達なら、って…そこから詰めて行くつもり…そ、それでね、来月の会社説明会の帰りに…ごはん、食べに行くことになったの」

「あら、どこ?」

「まだ、決めてないの…友達だから…明るい所がいいよね?」

 おそらくファミレスかファーストフード、あまりかしこまる場所は大輝が遠慮するに違いない。

 本当ならばムーディーなレストランでも、と想像が大きくなる前に

Mariaマリア、夜に男と会うなんてpapaは許さないヨ」

と父の待ったが入った。

「やるじゃん姉さん、hotelホテルに連れ込んじゃえ」

Leoレオ、滅多なことを言うんじゃないヨ!」

「女慣れしてる男ならしめしめってついて来るだろ。ただの堅物なら体で懐柔かいじゅうしちゃいな」

「Leo!」

 やんややんやと騒ぐ男性陣を今度は止めもせずに、母は

「Maria、その食事、うちの店でしたらどう?」

と紅い爪の人差し指を立てて娘へ提案する。

 夫妻の店は駅からは遠いが小洒落たアットホームなレストラン、観光客や地元カップルがデートでも使うお洒落な店だった。

「……緊張しちゃうよ」

「高級Frenchフレンチじゃないわ、ただの洋食屋。説明会帰りならformalフォーマル でしょ?雰囲気出て良いじゃない…ねぇpapa?」

「…まぁ…知らない所で会われるよりは…安心ダケド…」

妻には弱い父はその提案を飲み、二人のためにひと席予約することを了承する。

「あたし…見栄張らずに素のままの方が良いのかな…釣り合うかなぁ」

「そんな高嶺の花なの…じゃあ逃すのが惜しいと思わせるくらい強気に行くのも手かもしれないわね」

「でしょ?mamaママ…あたし、頑張る」

「ええ、応援してるわ」
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