11 / 92
3章
11きゅん
しおりを挟む上りは校舎内を数珠繋ぎに歩いたが、下りは外の階段を使うことにして辺りを見回しながら中央広場付近の食堂棟を目指す。
もし近くに真梨亜が居ればここから見つけられたりして、大輝は見つかるのを拒んだくせに今度は彼女を探してやろうと少々期待した。
それはあらかた目標地点まで課題が進んで気分が良いから、そして昼飯くらい誰かと摂っても良いかなと…長い休みで少し独りに飽きたからということもある。
「(まぁ、居ないだろう……何食べようかな…)」
学食が3店舗集まる食堂棟の2階、いつもより短縮営業中のコンビニへ着いて食料を物色していると
「あー!大輝くん‼︎居たぁ‼︎」
と甲高い声が吹き抜けのホールへ響いた。
「⁉︎」
「大輝くん、覚えてる?真梨亜だよ、Russell・真梨亜!」
「お、覚えてるよ、真梨亜さん…なんで、ここに…」
「返事来ないんだもん、探しに来たの!」
忘れられるはずないだろう強烈な印象の彼女はまたしても大輝の文字通り懐へ入り込んで、ぎゅうとハグして顔もびったりと密着させる。
僅かに居る学生は「なんだなんだ」と注目するし体は反応するしで大輝はひとまず真梨亜の柔らかい二の腕を掴んで引き剥がした。
「落ち着いて!あの、とりあえず待ってて、お昼ご飯買って来るから」
「うん、待ってる」
「なんなんだ…」
それなりに吟味しようと思っていた大輝は無難で一番人気の海苔弁を選んで、さっさと会計してもらおうとしてはたと動きが止まる。
「…真梨亜さーん、食べるものはある?」
仕切りの壁の無い店内から表で待つ真梨亜へ大輝がそう問えば、
「あ、何も…」
と返って来たので上の棚からサンドイッチを2パック取って一緒にレジを通してもらった。
「はい、あげる。多かったらちょうだい、僕食べるから」
「あ、ありがとう…嬉しい…」
真梨亜は両手でサンドイッチを受け取り大輝の後を追って階段を降りる。
1階は普段だと全席開放して食券式の食堂になっているのだが、春休み期間中は管理上の問題で入れないようカラーコーンで塞いであった。
0
お気に入りに追加
19
あなたにおすすめの小説
どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~
さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」
あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。
弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。
弟とは凄く仲が良いの!
それはそれはものすごく‥‥‥
「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」
そんな関係のあたしたち。
でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥
「うそっ! お腹が出て来てる!?」
お姉ちゃんの秘密の悩みです。

サンタクロースが寝ている間にやってくる、本当の理由
フルーツパフェ
大衆娯楽
クリスマスイブの聖夜、子供達が寝静まった頃。
トナカイに牽かせたそりと共に、サンタクロースは町中の子供達の家を訪れる。
いかなる家庭の子供も平等に、そしてプレゼントを無償で渡すこの老人はしかしなぜ、子供達が寝静まった頃に現れるのだろうか。
考えてみれば、サンタクロースが何者かを説明できる大人はどれだけいるだろう。
赤い服に白髭、トナカイのそり――知っていることと言えば、せいぜいその程度の外見的特徴だろう。
言い換えればそれに当てはまる存在は全て、サンタクロースということになる。
たとえ、その心の奥底に邪心を孕んでいたとしても。
ちょっと大人な体験談はこちらです
神崎未緒里
恋愛
本当にあった!?かもしれない
ちょっと大人な体験談です。
日常に突然訪れる刺激的な体験。
少し非日常を覗いてみませんか?
あなたにもこんな瞬間が訪れるかもしれませんよ?
※本作品ではPixai.artで作成した生成AI画像ならびに
Pixabay並びにUnsplshのロイヤリティフリーの画像を使用しています。
※不定期更新です。
※文章中の人物名・地名・年代・建物名・商品名・設定などはすべて架空のものです。

百合ランジェリーカフェにようこそ!
楠富 つかさ
青春
主人公、下条藍はバイトを探すちょっと胸が大きい普通の女子大生。ある日、同じサークルの先輩からバイト先を紹介してもらうのだが、そこは男子禁制のカフェ併設ランジェリーショップで!?
ちょっとハレンチなお仕事カフェライフ、始まります!!
※この物語はフィクションであり実在の人物・団体・法律とは一切関係ありません。
表紙画像はAIイラストです。下着が生成できないのでビキニで代用しています。
クラスメイトの美少女と無人島に流された件
桜井正宗
青春
修学旅行で離島へ向かう最中――悪天候に見舞われ、台風が直撃。船が沈没した。
高校二年の早坂 啓(はやさか てつ)は、気づくと砂浜で寝ていた。周囲を見渡すとクラスメイトで美少女の天音 愛(あまね まな)が隣に倒れていた。
どうやら、漂流して流されていたようだった。
帰ろうにも島は『無人島』。
しばらくは島で生きていくしかなくなった。天音と共に無人島サバイバルをしていくのだが……クラスの女子が次々に見つかり、やがてハーレムに。
男一人と女子十五人で……取り合いに発展!?

ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる