真梨亜さんは男の趣味が残念だ

茜琉ぴーたん

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3章

11きゅん

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 上りは校舎内を数珠繋ぎに歩いたが、下りは外の階段を使うことにして辺りを見回しながら中央広場付近の食堂棟を目指す。

 もし近くに真梨亜が居ればここから見つけられたりして、大輝は見つかるのを拒んだくせに今度は彼女を探してやろうと少々期待した。

 それはあらかた目標地点まで課題が進んで気分が良いから、そして昼飯くらい誰かと摂っても良いかなと…長い休みで少し独りに飽きたからということもある。


「(まぁ、居ないだろう……何食べようかな…)」

 学食が3店舗集まる食堂棟の2階、いつもより短縮営業中のコンビニへ着いて食料を物色していると

「あー!大輝くん‼︎居たぁ‼︎」

と甲高い声が吹き抜けのホールへ響いた。

「⁉︎」

「大輝くん、覚えてる?真梨亜だよ、Russellラッセル・真梨亜!」

「お、覚えてるよ、真梨亜さん…なんで、ここに…」

「返事来ないんだもん、探しに来たの!」

忘れられるはずないだろう強烈な印象の彼女はまたしても大輝の文字通りふところへ入り込んで、ぎゅうとハグして顔もびったりと密着させる。

 僅かに居る学生は「なんだなんだ」と注目するし体は反応するしで大輝はひとまず真梨亜の柔らかい二の腕を掴んで引き剥がした。

「落ち着いて!あの、とりあえず待ってて、お昼ご飯買って来るから」

「うん、待ってる」

「なんなんだ…」

それなりに吟味しようと思っていた大輝は無難で一番人気の海苔のり弁を選んで、さっさと会計してもらおうとしてはたと動きが止まる。

「…真梨亜さーん、食べるものはある?」

 仕切りの壁の無い店内から表で待つ真梨亜へ大輝がそう問えば、

「あ、何も…」

と返って来たので上の棚からサンドイッチを2パック取って一緒にレジを通してもらった。


「はい、あげる。多かったらちょうだい、僕食べるから」

「あ、ありがとう…嬉しい…」

真梨亜は両手でサンドイッチを受け取り大輝の後を追って階段を降りる。

 1階は普段だと全席開放して食券式の食堂になっているのだが、春休み期間中は管理上の問題で入れないようカラーコーンで塞いであった。
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