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5章
24きゅん
しおりを挟む甕倉駅から隣の北甕倉駅までは時間にして約3分。
それくらいならと二人は座席へ座らず窓からの景色と微妙に弾まない会話を楽しむ。
大輝としては「何か答えを出してあげなければ可哀想なのか」と考えたし、真梨亜としては「押し過ぎたかな」と自らの端なさを反省していた。
「……」
揺れる度に真梨亜の結った髪の毛先がチラチラ振れてジャケットの背中を掠る。
段々と日が長くなってきて太陽光に照らされた彼女の髪は白っぽい金髪で透明感が感じられる。
「キレイだなぁ」
「え?」
「あ、いや、髪…金色…ミルクティーみたいな色がやっぱりキレイだなって…心で思ったんだけど口から出てた」
「なにそれ………ありがとう…」
もっと口説いてくれても良いのにそれをしてくれない貴方が素敵、まだ出逢って日も浅いのに真梨亜は大輝へ全幅の信頼を置くばかりか心酔しつつあった。
今夜は食事をして終わりのはずだが唇へのキスくらい発展させてもいいかしら、両親のお眼鏡に適えば良いけれどどうかしら…むずむずどきどきと初恋のトキメキが焦燥感の如く心臓を打って落ち着けない。
「自分に無いものは物珍しくてつい見ちゃうね」
「大輝くんは…髪は真っ黒ね」
「うん、毛深いんだよね…ヒゲも濃いしさ」
「(胸毛とかも生えてるのかな…おヘソの下とか…その下…きゃー)」
「着いた………真梨亜さん、降りるよ?」
「あ、うん、うん…」
中高生並みの妄想は程々に、真梨亜は自宅マンションまで大輝を先導して歩いた。
つづく
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