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これまでと、これからと
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しおりを挟むそして数回目のデート、ついにその日が来た。
「なぁ文香、ここ入ろ」
「…ら、ラブホやん、昼間っから何を言うてるんですか」
「何で?そろそろドーテー棄てたいねんけど。めっちゃ好きな女やないと嫌や思うててん、しやから文香がええ、な、わしのドーテー貰うて、入るで」
「っ…こっちの都合とか!」
料金表を見て悠々と足を踏み入れる哲哉、手を引かれる文香。
嫌がりながらも足は止まらず、しかし突然なので抵抗があった。
「ここや、301。ふーん、こないなってんねや…スロットあるやん、へー…」
「…ムードも何もあれへん…」
「ふー…、ほな、文香、ぼちぼちな、」
「あんた、ちっとは盛り上げようとか思わへんの⁉︎うちだって、初めてで緊張してんねんで⁉︎」
丁寧語を崩さない文香が、初めて哲哉にキレる。
けれど荒々しい男性社会に生きる哲哉はものともせず、「ほう」と口笛を吹くように軽く驚くだけだった。
「わしかて緊張しとるよ。しゃーないやん、どうやってもカッコつかへん。失敗しても笑うてや、な、」
「…何でも正直に言うたらええってもんじゃ…」
「出来んものは出来ん、その代わり出来ることは自信持って出来る言うよ。…なぁ文香、わしに自信つけさして」
「ぐぬぬ」
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無理にカッコつけたりせず、知ったかぶりをせず、妙に弁えたところがある。
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