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これまでと、これからと
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しおりを挟むとある配送・工事会社での、朝礼前のこと。
「…乳デカぁ」
哲哉は新入社員の胸元を見て、馬鹿正直な言葉を漏らす。
漏らすどころか面と向かって言われた当該社員・文香の顔は引き攣っていた。
「…よ、よろしくお願いします…文香です…」
「親父さんと似てへんな。可愛いやん、よろしく」
「……」
親父さんとはこの会社の社長で親方、文香の父である。
古株の社員は幼い頃から文香を知っていたが、しばらく事務所に来ていないので哲哉は彼女の存在をよく認知していなかった。
その文香が高校を卒業して勤め始めるとのことでの挨拶、初っ端からかまされたセクハラに彼女は随分と引いてしまう。
荒っぽい男性に慣れてはいるが、彼らは自分をお姫様のように大事に扱ってくれた。
それは小さい女の子だからという理由の他に「社長の娘だから」という事情もある。
幼女に不慣れだから、ただ泣かさないようニコニコして触り無いよう気遣う者が多かった。
なので、こうもあからさまに自分を「女」として認識されて衝撃だった。
「(なんやの、この人…初対面で…む、胸のこと言う?ヤバい奴やん。お父さんも何であんな人雇ってんの⁉︎)」
「なぁ、彼氏とかいんの?わし、今彼女おれへんから、付き合う?」
「え、あの……あ、」
たじたじになる文香はふと、哲哉の頭上へと目線を上げる。
「ん?なん………っ‼︎っでぇっ‼︎」
「阿呆、親の前で堂々と娘を口説いてんな。朝礼始めんぞ」
振り下ろされたのは親方の拳。
社員は頭を抑えて悶絶する哲哉を気にも留めず、ぞろぞろと整列する。
「みんな、新入社員の文香や。今日から事務を手伝うてもらう。ええか、俺の娘やから、簡単に口説ける思うなよ」
クスクスにやにやと騒めく中で、哲哉はぶすくれて「へっ」と悪態をつく。
文香は呆気に取られたものの、緊張が吹き飛んでリラックス出来ていた。
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