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 寝室の向かいの空き部屋はドアも開いていて誰もおらず、その隣のトイレは明かりも点いていない。

 とすればやはり寝室だ。

 ドアの隙間からは僅かに光が漏れているからここしかないだろう。

 茉莉花はおそらくドライヤーで音消しをしてこの寝室に入っているのだ。

 余程やましいことがあるのか。

 何かを隠しているのか、隠滅しているのか、はたまた誰かを逃したりしているのか。

 まぁ日中は俺がずっと在宅だったし不審者や浮気相手の線はほぼ無いんだ…ふぅと息をついて、勢い良くドアを開けた。


「…きゃあぁっ⁉︎」

「……茉莉花?」

 寝室のクローゼットの前に居たのは当然だが茉莉花で、しかし風呂上がりのはずの彼女は俺が初めて見る下着を身に着けていた。


 ブラジャーは分かる。

 しかしおっぱいを包む部分と中心から花の付いた紐みたいなものが首まで伸びていてチョーカーと繋がっている。

 パンツの上にはガーターベルトと言うのか紐があってストッキングと繋がっていて、そのストッキングを引き上げている途中で俺が乱入したもんだからTバックの尻が丸見えで実に眼福であった。

「空くん、やだ、まだ見ないでっ」

「え、茉莉花、可愛いじゃん、見せるために着たんじゃないの?なに、」

「そうらけろぉ、みらいれぇっ……ふえぇ~」

あられもない姿で涙を流し始める茉莉花。

 ペタンと座り込めば床に付いた尻が冷たそうなのでとりあえず腕を引いて立たせる。

「ベッドに座っときな、ちょっと…ドライヤー止めて来るから」

「ゔ、んんっ…えぐっ」


 混乱した頭で俺は脱衣所に戻りドライヤーを止めて、リビングのスキンを携えて寝室へと戻った。

 茉莉花は薄い布団を被って体を隠して、まだえぐえぐ泣いている。

「落ち着け、茉莉花」

「やらぁ~…嫌いに、なららいれぇ~」

「ならんて、どうしたんだよ」

 しゃくり上げれば揺れる胸。

 ここは寝室で相手は恋人なのだからいやが応にも体が反応してしまう。

 しかし話し合いをせねばな、なるべく下着を見ないように茉莉花をなだめた。
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