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しおりを挟む「渡されたのか」
「うん、断ったんだけど、押し付けられて…割れ物みたいな音がするし落としたらそれも面倒だと思って受け取ったの」
つるつるとした表面加工が施されたA4サイズの紙袋は持ち手の根の部分がホック式になっており、パチンと留められて中身は見えないようになっていた。
「カウンターでも何か渡されてなかった?」
「あれはクッキーだった…ちょっと食べる気しない」
「これ開けるの、恐いな」
「うん…帰り道がバレるのも嫌だったから、ニカイドーの周りをぐるっと回って地下道から反対側に渡って撒いて来たの…成功してれば良いけど…走ったから中身、割れたかもしれない…」
「もし変なもんだったらここじゃまずいよな」
「うん、でも捨てて帰れる物なら捨てちゃいたい…」
おかしな物だったとしたら、いざ対面して分別してと労力を割くのがまこと面倒ではある。
しかし危険な爆発物とかだったらどうしようか。
俺は恐る恐る袋の口を開けてみることにした。
「…瓶だ」
「何の?」
「ドリンク剤かな?……あ、これヤバいやつだわ」
「やだ、捨てて帰ろ」
中に入っていたのはいわゆる慈養強壮剤で、蝮とかニンニクとか精のつきそうな食材がおどろおどろしくパッケージに描かれている。
その名も『ぜつりんぼうZ』、なるほど効きそうなネーミングだ。
それともうひとつは女性用だろうか外国語のラベルが貼られた瓶で、男性用が精力剤というところから想像するにこちらもただのエネルギー飲料ではなさそうである。
これらを使ってホテルにでも行こうとしてたのか。
マカロン男はなかなかの行動力があるみたいだ。
「あぶねー奴だな…んー…」
「何?何の飲み物?」
トイレに中身を流して瓶を捨てて帰ることは出来そうだが、証拠として取っておいた方が良いような気もする。
「家で見よう、写真撮ってからでも捨てられるし」
「変なもの入ってるんじゃないの?」
「いや、未開封だな。本人も使う予定だったろうから異物は入ってないと思う」
「使うって何、やだ、空くん、気持ち悪いよぅ…」
俺はジューススタンドの感想や冨地原さんにお世話になったことを話して茉莉花を宥めて、車内にも関わらずぴったりくっ付いて地元駅を目指した。
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