清純派彼女には秘密なんて無い、よね?

茜琉ぴーたん

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 俺は茉莉花と同棲してつい最近知ったのだが、女性は日々しもから何らかの体液が分泌されているらしい。

 おりものと呼ばれるそれは日によって形状や質感が違っていて、パンツのクロッチ部分にシートなるものを貼って汚れや匂いを防いだりしているそうだ。

 そうか、女性の下着のあの汚れはそれだったんだな…母親のものから元カノのものを含めて、俺は「なぜ女はこんなにパンツが汚れるんだ」とこれまで本気で思っていた。

 トイレで拭くはずなのにこんなに汚れるものか?とおりものの存在なんて知らずに少なからず不潔に感じていた。

 その勘違いを懇切丁寧に正してくれたのが茉莉花なのだが、元カノたちに今さら謝れるはずもないのでもうそれは良かろう。

 茉莉花は大切なランジェリーを守るために常にその辺り気を配っているらしく、しかし布地面積の小さいパンツはそもそも局部を覆う機能はほぼ期待できないために折り合いが難しいそうだ。

 なのでTバックよりももう少し臀部でんぶの面積を広くしたチーキーとかタンガとかソングとか、とにかく後ろが紐ではなく下着本来の役割を果たすものを好んで穿いている。

 俺には簡略化して『Tバック』と言ったが、正確には仕事中はもう少し布の多いものらしい。

 なので今日もレースがVの字になったパンツを穿いているのだが、そんなことを知っているのは俺だけのはずである。


「(帰ったらよく見せてもらお……んー、働く茉莉花も良いなぁ)」

 化粧品の匂いがぷんぷんするフロアは俺には刺激が強過ぎて目眩めまいものなのだが、先日そのひと区画に新たなテナントが入った。

 それはサプリメントも手掛ける化粧品メーカーがプロデュースしたフレッシュジュースのスタンドで、注文したらその場で果物をミキサーにかけて提供してくれるというものだ。

 メイクをしない俺が化粧品売り場をウロチョロしていると不審者感ありありで目立ってしまうのだが、ジュース屋で休んでいればそう不自然にはならない。

 『彼女の買い物を待っている彼氏』感が出るしそのジュース自体を目的に来る人もいるらしいし、今日の俺にはもってこいな場所だった。

 メニューはよく分からないからお任せで作ってもらい、ガラスの仕切り壁に寄せられたテーブルで早速ひと口頂いてみる。

「…美味っ!」

 ついつい声に出してしまえばカウンターのお姉さんも苦笑して、俺は背中を丸くしつつちびちび飲んでは通路の先の茉莉花を窺った。


 実は、俺は今日茉莉花の心配の種を確認するためにこうして忍んで来ているのだ。
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