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おまけ
しおりを挟むとある吉日の日曜の午前。
これはまだ太獅とマリが結婚する前のこと。
「初めまして、笠置唯です」
「初めまして…船丘マリです…同い年やんね、タメ口でいい?」
「え、はい…ええ」
久々に実家へ帰り両家両親へ結婚の報告を行ったマリは、龍が連れてきた彼女・唯に初めて会う。
彼女は龍より4歳年上なので太獅とマリとは同い年であった。
「龍ちゃん、それ…マグロ取って?」
「はい、……届きませんもんね、ふふ」
「やかましな」
小柄だけど気が強そうで、年下の龍を上手く手懐けている感じ、しかし龍も敢えて従っている様子が感じられて…面白いカップルだとマリは二人のやりとりを見つめる。
「二人は仲良いね。太ちゃんと違うて龍ちゃんは浮気もせぇへんやろし…唯ちゃんも安心やね」
「せや…ね、うん…」
太獅の浮気にマリが悩んだ話は事前に聞いていたので、「自分もかつて貞操観念の緩い人種でした」と昔の蛮行が頭を過った唯は歯切れ悪く答えた。
「うん、僕は兄さんと違って浮気はせぇへんよ、ユイさん一筋♡」
「いや、俺かてもうせぇへんて…これ、死ぬまで言われんの?堪らんな」
「自業自得やな」
すっかり尻に敷かれた兄の姿にほくそ笑み、龍は唯の肩を抱いて「ユイさんもね」と恋人の耳元で囁く。
・
両家揃った食事会は和気藹々と進み、龍と唯は時計を見て「そろそろ、」と支度をする。
「ほな、僕らこれから仕事やから。マリちゃん、ゆっくりして行ってな、」
「すんません、バタバタしまして。失礼します」
家電量販店勤めの二人は土日は休みづらいため、この食事会のために半日有給を取って参加していたのだ。
「すまんね、わざわざ来てもらって」
「いえ、ご馳走様でした…マリちゃん、またね、」
「うん、唯ちゃんまたね、」
唯は龍を助手席へ乗せて車で出て行く。
「な、可愛い子やったろ?おっぱいも大きい」
「せやね…シャキシャキしとって…気が合いそうやわ」
マリは太獅の耳たぶをギリギリと引っ張ってそう答えた。
おわり
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感想ありがとうございます。浮気されて別れるカップルもいればそうじゃない人もいる、この話は後者を切り取っただけのことです。マリの心情に関しては15話の通りですが、『破れ鍋に綴じ蓋』がしっくりくる話なのではと自分では納得させて書きました。「チョロい」がどの部分を指すのか分からずこんな説明ですが、紆余曲折あって纏まるカップルはザラにおりますのでこんなものだろうと思っています。