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episode:8…足りない熱量

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 そして…不安はまだあって、正直言って学習内容について行けてない。

 シナリオだったりゲームの仕組みそのものを総合的に学んでゲームプロデューサーやディレクターになることを目標に挙げる学科にしたのだが、理想と現実の乖離かいりに心身が悲鳴を上げている。

 何というか、『情熱パッション』が私には足りないらしい。

 ただでさえ「こんなものを作りたい」と確固たる決意や像が出来上がっている者ばかりで気後れしたし、実際提出したショートシナリオは「陳腐ちんぷ」のひと言で返却された。

 講師曰く、なんというか私はものを知らないみたいだ。

 世界が狭い、だから内容が薄い、ストーリーに深みが無い。

 私はゲームが好きで詳しいけれど、それしか知らない。

 題材になるものや訴えたいこと、設定を作るためのシチュエーションだとかキャラクターの心情と動機付けだとか、とにかく浅いと言われた。

 そして受験前から私なりにプログラミングやコンピュータのことを勉強してきたつもりだったけど、システムの授業が始まると予習内容はあっという間に通り過ぎてしまった。

 予習をしてなんとかなっている感じ、さすが得意な者たちが集まるだけあって皆優秀だし、全く別次元で話が進んでついて行けてない。

 まだ理論とか基礎の基礎なのにまるで理解が追い付かない。

 分からない用語を調べて引き返して理解して追い掛けて、その繰り返しと自分の無能さが腹立たしい。

 好きを仕事に出来たらと大口を叩いたがそれ以前の問題だった。

 地頭が数字とアルファベットの羅列に呑まれてしまい教科書を開いてもつーつーと目が滑る。

 脳みそのシワが無くなったみたいに情報が入って来ない。

 周りはサクサク基礎課題を片付けているというのにキーボードを叩く指が動かない。

 講師に声を掛けられても説明が右から左、「分かりましたか」と聞かれれば「はい」と嘘をついてしまった。


 もちろんプログラミング以外の得意な分野を決めて2年生の専門科目を選択すれば良いのだがそこまで到達しなさそう。

 どの分野も全体的に出来が悪くて毎度肩身が狭い。

 よくその道のプロとかが「学生時代は落ちこぼれでね」なんてエピソードを話したりするけれど、それでもいずれ大成しそうな気配ややる気みたいなものがどうも私自身でも感じられない。

 技術は興味と発想力で巻き返せると思っていたがそんなことは無い。

 ここに居る人たちは私と同等にアイデアや探究心は持っていてそれでいて情熱と技能習得のポテンシャルだってある。
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