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episode:6…篤人の決断
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しおりを挟むそれから月が変わって6月…ある日最後の授業が終わって教室へ戻っていると、クラスのスポークスマン的な女子が「校門のとこに超イケメンが居る‼︎」と騒ぎ出した。
色めき立つ女子たちを尻目にイケメンに目だけ慣れている私は「篤人よりいい男なもんかね」なんて我関せずを気取っていた。
しかしわざわざ目撃しに行った者たちの口ぶりを聞くに「おや?」と思うようになる。
「目がキレイ♡肌も白くてイケメン♡オケ大附属のあのタイの色は1年だよ」
「軽薄そうだよね、チャラそう。でも近く通って目が合ったらペコって会釈したの、良い人かも~♡」
「ひょろいけど余裕がある、誰かに用事なのかな」
「うーん…」
軽薄そうでひょろいイケメンで同級生か…該当者はひとり居るが世間はそう狭くはあるまい。
しかし道すがら「タマちゃんってコを探してるんだって」と耳にしたが最後、「あいつ、やりやがったな」と体内の血が急ピッチで巡り出すのが分かった。
確証は無いがそのイケメンとやら拝んでやろうじゃないか。
帰りのホームルームが終わりまだ居るのかと正門へと向かえば、よく知った男がよいしょと立ち上がるところだった。
「あ、篤人!」
「珠ちゃん!会いに来たよ~」
「おい、おいおい」
「へへ、ビックリした?」
「ビックリしたわ、篤人…どうした、学校は?」
「朝から親も交えて話し合いして、そのまま早退…幼稚な嫌がらせはもう沢山。教師も当てにならないし…辞めようと思ってさ」
「…辞め……待って、自転車取って来るから…」
笑う顔は変わらずイケメンだがそれだけじゃない。
儚くて霞のように消えてしまいそうで、私は白い手をぎゅっと握って「ここに居てよ」と念を送ってから自転車置き場へと走る。
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