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episode:2…格差
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しおりを挟む篤人の眉がぴくんと揺れたその時、
『♪~~♪~~』
ホームから電車の到着メロディーが聞こえてはっと腕の時計を確認する。
下りの電車が入線するようだ、篤人に目線を戻すと奴は乗る予定でもないだろうになんだかソワソワしているように見えた。
「珠ちゃん、じゃあ…また連絡するから。お友達待ってるし行って、」
「うん?これ乗るやつじゃねぇけど」
「行って、いいから!またね!」
「うん…じゃあな」
追い払われた気分だ、これはきっと勘違いじゃない。
おそらくこの便に待ち人が乗っているんだろう?その人を駅舎の前で今か今かと待ち構えていたのだろう。
「(話しかけておいて厄介払いか…偉くなったもんだな)」
解放されたとはいえホームと改札は今の電車から降りて来た客や学生で溢れていて、わざわざ割って入るほど急いでもない私は端に寄ってやり過ごそうとベンチに座った。
そうすると人混みの中からふわふわ妖精さんみたいな可愛らしい女子高生が抜け出して私の前を通過し目を奪われる。
「(…わ、可愛い…)」
同性から見て可愛いのは男性受けし難いと聞くけれどその子は例外だったよう…彼女は外で待つ篤人の元へ駆け寄って、お天道様の下にも関わらずぎゅうと堂々ハグをしてのけた。
そうか篤人は恋人を待ってたんだ。
そりゃイケメンリア充だし居ない方がおかしいわな、まことお似合いな制服カップルは自転車の2人乗りをして駅舎から離れて行く。
彼女との待ち合わせか、どうりでベルが鳴ったらそわそわし始めた訳だ。
もし私が男子なら「こいつ、中学の同級生だよ」なんて紹介してくれたのかな。
まさか冴えない私と居るところを見られたくなかったから先にサヨナラしたのかな、哀しいけれどきっとそれが正解だと思う。
しかし可愛い子だった、細くて白くて化粧もしていたし髪も巻いて華があった、篤人と同じ学校の制服だから偏差値も高いことだろう。
でも本当のことを言うと本能で察する『悪い女』みたいなものを感じた。
非リア充は人間とも思ってないような冷酷な…とそこまで妄想して僻みはいかんと正気に戻る。
もしそうだったとしても自分には関係無いし納得して篤人が交際しているなら問題は無い。
美形は美人とくっ付いて遺伝子を継いでいくのが地球のためだ。
そして「あんな美人になりたいなぁ」と考えるのは私自身の問題、篤人はともかく引く手数多だろう美人の存在は純粋に思春期の心に羨ましく映った。
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