幼馴染はイケメン高学歴リア充、だけどぽっちゃり喪女の私に夢中でなかなかの変態だからもったいない。

茜琉ぴーたん

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 数十分後、単純な食事量は少ない篤人は「ご馳走さま♡」と発してから射精し、私の口周りを綺麗にしてベッドへ寝かせてくれた。


「それで…まだ考えたくないだろうけど、学校はどうする?」

乾ききってない私の髪をくりくり指に巻き付けながら、篤人が遠慮がちに囁く。

 やはり避けられない話題だ、一時的にセックスで誤魔化しはしたものの前向きに考えられるほど気持ちが晴れた訳ではない。

「んー……半年分の学費は払ってもらってるから…秋までは続けたい」

「でもついて行けないんでしょ?辛くない?」

「うん…先生に相談してみようかな…たぶん辞めると思うけど…とりあえず顔出さなきゃ」

「ん、そうだね」

「バイトも探して…前に進みたい」

 当面の問題は社会復帰とお金だ。

 帰省もせずに真面目にやっていると信じてくれている親からの仕送りを食い潰す訳にはいかない、働かなくては先が見えない。

 幸い私は芯まで病んではなかったのだろう。

 もしくは篤人の力尽くの治療が効いたのか学業に見切りを付けようと決めたら心に余裕が戻ってきた。


「ゆっくりで良いよ…ボクがお世話してあげる」

「うちは男子禁制だぞ」

「ビジネスホテルとかウィークリーマンションでも良いよ。甘やかして飼ってあげたい」

「ペットかよ」

「小ブタちゃん♡」

「ぶー」

「へへっ」

 ゆるやかに流れる時間、篤人といればここが東京だなんてことを忘れてしまう。

 心が穏やかになったから話してみようかな、

「…本当はな、他にもあんだ、理由。篤人に置いて行かれた気がしてさ、寂しかったんだ。ひがみ、なのかな、篤人が都会に馴染んでカッコよくなっちまったから」

と明かせば篤人は

「…そう?」

と哀しげな目をした。

「一緒に歩くのが惨めでな、そういうのもこう…複合的にな」

「気にしなくて良いのに。ボクはイケメンだけど珠ちゃんとの釣り合いなんて問題じゃないじゃん」

「まぁな……あとさ、その…プチイジメみたいのに遭ってな、大人なのにしょうもねぇだ」

「誰?そいつ」

篤人の目の色が変わる、かつての虐めを思い出したのだろうか狂気を含んだ瞳の裏に「報復」の念がチラつく。

 そんなことは望んじゃいない、これまでどの学年にも嫌な奴はいたし直接ではないにしても容姿を笑われたり腐したりされるのも初めてじゃない。

 大人気ないと呆れただけ、それがホームシックと学業不振に重なって心をかき乱しただけなのだ。


「落ち着け、それはもう良いんだ。オタサーの姫みたいな奴にな、無視されたり『ふんっ』って悪態つかれたりしただけだ」

「えー、許せないんですけどぉ」

「そいつもなんか寂しかったりするんじゃねぇの?そんで私が格好の餌食えじきになったんだろ…喪女ならターゲットにしやすいし」

「珠ちゃんはボクという彼氏がいるんだから喪女じゃないんですけどぉ」

 篤人の威を借るなんてみっともないし聞かれてもないのに彼氏の存在を匂わせるなんておかしいだろう。

「確かにな、でも単体なら冴えないモテない女だろ。それを乗り越えて続けられるだけの力が無かったんだ、同じことだ」

と笑えば篤人は説得を諦めてため息を吐いた。

「…指輪でも着ける?」

「いいや、心の支えにはなるだろうけど…もう良いんだよ」



 その後もう一度セックスをして、篤人は膝の立たない私をアパートまで送り届けてから帰って行った。

 ひとりに戻り寂しさはあったが篤人が掃除して整えてくれた部屋は昨日までとは空気がガラリと変わって息がし易くなっていて、「明日干すように」と言われた臭い布団でも朝までぐっすりと眠ることができた。

「…篤人…」


 買って持たせてくれたパンを朝食にして喉へ通す。

 細く渇いた喉にパンのカケラがささくれのように刺さって一瞬慌てたが、同じく貰ったミルクで流し込み事なきを得る。



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