幼馴染はイケメン高学歴リア充、だけどぽっちゃり喪女の私に夢中でなかなかの変態だからもったいない。

茜琉ぴーたん

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episode:6…篤人の決断

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 信号も少なくなって地元町内へ、交通量の割に整備され過ぎた片側1車線の県道は2キロほど真っ直ぐ北へと伸びている。

 その歩道を縦に並んでしばらく走り、坂を越えて幅の広い所まで出たら自然と二人横に並んだ。


「ねぇ珠ちゃん、…解決して結論が出たらさ、本気で付き合ってくれない?」

「ん、何に?」

「交際、ボクのゴタゴタに巻き込む形で彼女になってもらったけどさ」

「私は保留にしたつもりだったのにな」

「うん、珠ちゃんの家族にも言っちゃったしさ、本格的に男女交際しない?名実ともに。デートもしたいし、エッチももっともっといっぱいしたい」

「え、さっきの話と関連ある?」

「無いけど。でもボク珠ちゃん好きだし」

 それはきっと少ない2択の中での消去法だ、しかし学校を辞めるとなればお守り役も要らないしフリーを謳歌おうかできるのに。

「……もう役目は終わったろ」

と呟いて隣を見れば、「やっぱりね」と悟った顔で篤人は笑う。

 しかし遠く山の上を見据えてうちの地区への横道へ自然と曲がり、数百メートルの間私の前を走った。

 私たちの集落は山ではなく谷、両端に山地があって挟まる部分をひらいて宅地にしたそうだが…田舎の町でも特に山際な我が家は到着するまでになだらかだが長距離の坂を上らねばならない。

 ちなみにうちよりもっと奥まった篤人の家は車1台がやっとの山道の先に建っていて、通学も行きは楽だが帰りはなかなか憂鬱だそうだ。

 土地はあるんだからふもとに引っ越せばと毎年話し合うそうだが、先祖が守ってきた土地と住み慣れた家を離れたくないとお祖父ちゃんが頑ならしい。


 坂を上り切ったら篤人は追いかける私を待ってくれていて、しかしその顔は一層眩しくなった西陽に照らされて表情が鮮明には見えない。

 息の上がった私を「ぷふ」と失礼にも嘲笑し、

「まぁ交際のことは考えておいて……断ったってたんまりエッチした記録は残ってるからそれでまた脅しても良いしね」

と変速機のギアを切り替えてスイスイ漕ぎ出す。

「待て、何だよ記録って」

「毎回撮ってたよ?今10…5回分くらいかな、溜まってる。スマホ机に立てかけてたでしょ。日記も付けてるよ」

「…マジもんの変態だな」

「照れる♡」

「褒めてねぇよ」

「ちょっとした収集癖もあるからコレクションしたくなっちゃうんだよね…ふふっ…じゃあね、また!」

「…あつ……またなぁ!」

私の家の前で話は終了、振り返らず帰って行く篤人はやはり清々しいオーラをまとっていたし立ち漕ぎの動きも軽やかだった。
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