幼馴染はイケメン高学歴リア充、だけどぽっちゃり喪女の私に夢中でなかなかの変態だからもったいない。

茜琉ぴーたん

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episode:5…日和見保身クソ野郎

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「その珠ちゃんが自分より下に居るのが…気分良かった。その珠ちゃんがボクに話しかけるためにあたふたしてたのが痛快で…高嶺の花のボクに謁見えっけんするために珠ちゃんが労力を使ってくれるっていうのが『ざまぁ』って感じもあった。ボクの方が助けられてる立場だったからね、下克上げこくじょうみたいなもんだよ」

「オタクが食い付きそうなワードばっか入れんな」

「…でもすぐに珠ちゃんは諦めた…ボクに関わろうとするのをやめた」

「リア充は眩しいからな」

「珠ちゃんだって磨けば光るのに。まず痩せなきゃだけど」

そう言い腹肉をぶにと摘む、反射的に「あふ」と間抜けな声が漏れるとくっ付いている篤人の股間がより張ったような気がした。

「…私、別にそこまで馬鹿にされてお前と付き合いたくねぇんだけど」

「ううん、そういうことになるんだよ。ボクは珠ちゃんを彼女として発信する、周りが動く、噂に尾ひれ背びれが付いて…『そういうこと』になるんだよ、珠ちゃんの意志はあんまり関係無い」

「性格悪…お前、デブ専?」

「違うよ、できれば痩せた方が良いと思ってる。でもころころした珠ちゃんの方が可愛いなとも思ってる…ダイエットは好きにすれば良いよ、ボクさ、もう…なんて言うか、女の人に心を悩ませるの疲れたんだ。ご機嫌窺ったりワガママ聞いたりさ」

 つまりは保身だ。

 手頃な私で手を打って学生時代を乗り切ろうって魂胆だろう。

 悪い虫が寄り付かないようにする御守りみたいなもの、期限が来たらポイと捨てられるのだろう…やってられない。

「元カノがそうだったってだけだろ」

「いいや、相手を悪く言って蹴落とそうとしたりさ、『可愛い』って言ってる自分が可愛い、みたいな工作とかもうマジ面倒くさい。お姉ちゃんとか見てるとよく分かるんだ、狡猾こうかつで嘘つきでワガママ、都合が悪くなったら泣き落としだよ、まともに戦うのは馬鹿だ」

「…私もその女なんだが」

「珠ちゃんは別、モテないしデブだしオタクだし男子と話なんかしないでしょ?」

私のことをどう見てるのかよく分かった、やはり顔が良いだけのリア充なんてろくなもんじゃない。

 下級民にも人権はあるのだ、

「いや、すげぇ舐められてんな…これでもアニ研で男子と話くらいしてるわ」

と振り返れば篤人は瞳をきゅうと絞って心底驚いた顔をしていた。


 別に男子と話すことに抵抗は無い。

 同志が集まっているだけでラブな雰囲気は皆無だし『自分の推し』を語るだけで円滑とは言えないコミニュケーションを図る者も居る。

 でも新作の情報を交換したりレビューを聞いたりそれが楽しいのだから問題は無い。

 独りでも出来ることをわざわざ集団でやるというのはそういうことだ。

「え、アニメ研究会?オタサーの姫とかしてんの?」

「してねぇ、他にも女子はいる」

「…それは想定外だな…でもそこの男子とエッチしようって思える?」

「思わんし望まんしお前とだって望んでしてる訳じゃないからな」

「はいはい…ふー…とりあえず珠ちゃん、ボクと付き合ってることにするのが最善策だよ。不要な恨みも買うかもしれないけどね」

「最善じゃないじゃん」

「まぁね。でも何かあっても通報とかで乗り切れるでしょ?」

やはりこいつはフィクションの中のヒーローとは違うな、自分勝手に私を振り回しておいて助けにも来ないらしい。

 正直で正論を振りかざす馬鹿だ、私にだけでなくそれを取り巻きにも披露すれば良かろうに。

「え、犯罪的なことされんの?」

「例えば脅されたりしてもね、こっちに非は無いし…珠ちゃん、巻き込んじゃったのは申し訳ないけど了承した珠ちゃんにも責任はあるよ」

「お前、脅したよな」

「イケメンに脅されるなんてそれだけで白飯食べられるんじゃないの?」

「んな属性ねぇよ」

「まぁまぁ…仲良くして行こう?」
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