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episode:7…好きなことで食っていく
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しおりを挟む季節は夏、高校最後の夏休み…
「あッ…珠ちゃん、ア、あ♡見て、いっぱい入ってるよ♡」
「見ねぇ、早くイけよ」
「もう、冷たいなぁ、こんなに、愛を、伝えてるのにッ♡」
共に夏生まれの私たちはこの休暇中に揃って18歳になった…なので性描写も解禁である。
進学校の篤人は夏期講習の帰りに今日もうちへ寄り、されるがままの私をせっせと抱いて欲を発散させる。
「…(暑いなー)」
「珠ちゃんッ、ボクに集中して、ち◯ぽ入ってる、ほらぁ♡じゅぽじゅぽしてるッ」
「うん、入ってる入ってる」
「なにその反応、可愛く喘いだり出来ないの?終わってんな!」
「慣れたんだよ、馬ァ鹿!」
マグロというか篤人曰く『トド』、私のことが好きで腰を振る篤人だがたまには虚しくなってしまうらしい。
申し訳ないとは毛ほどは思う。
でも初体験の日から私の反応はほぼ変わっていないので私のせいではない。
いや私にも原因はあるのだけど…そんな私を選んだ篤人の責任なのである。
「もうッ…あ、あー♡ん、ちょっと休憩…」
「ぐへ」
男の上半身がもたれてくれば当たり前に重たくて、内臓を圧迫された私は無様な声をあげて浅めに息をした。
汗をかいた肌が触れ合うとひんやり冷たい。
そしてねちょねちょと淫らな音を鳴らす体液が扇風機の風で攪拌されて鼻まで届く。
「…珠ちゃん、ボクのち◯ぽ、悦くないかな。気持ち良くない?」
「篤人が悪い訳じゃねぇって」
「ボクばっかり…辛い」
「嘘つけ、ギンギンじゃねぇか」
「うん。ボクばっかり気持ち良くて…申し訳ないよ」
篤人が不安がっているのはズバリ私の反応…セックス時のリアクションについてだ。
私は押されたり打たれたりの振動で声を出すことはあるけれど、それは呼吸する上で開いた口から漏れたり圧迫された呼吸器の性質上どうしても仕方のないことで、「感じて」喘いでいる訳ではない。
なので息が上がりながらも切れ切れに喋る篤人とは違い私は割と普通に冷静な頭で最中にも関わらず会話が出来てしまう。
「体質だよ、仕方ねぇ」
「珠ちゃんにも同じくらい感じて欲しいのに」
「……ごめんな」
そう私は不感症なのだ。
早い段階で気付いていた篤人でもついこの前まで指摘せずにいてくれた。
このデリカシーの無い男でも言及せずにおいていてくれた、非常にデリケートな問題だ。
「ううん、謝らないで。気持ち悪い?」
「いいや、感覚はあるんだよ。でも快感とかそういうのは分かんねぇ」
「…切ない…」
もちろん肉が入って来る感触や擦れる痛みなどは分かるのだが、それが出入りしても特に「?」といった感じで何も特別なものが無い。
最初の頃は恥ずかしさで締まったり力を入れて締めたりしていた。
今もそうだが恥じらいにも限度があるもので以前よりも反応が鈍くなって来ている。
演技をするのはそれこそ恥ずかしいし勝手が分からない、なので最近の私は置き物のように篤人の欲情を受け止めるだけの壺みたいな役割になっていた。
まぁそう思っているのは私だけで、篤人は相変わらず私に「可愛い」「好き」を繰り返してくれていて、トド状態でも慈しみを持って抱いてくれている。
しかしやはり篤人の疑念は大きくなってついに先日私へ打ち明けて、私も「実は」と白状したのであった。
「ここはどうかな」
「んッ」
「何か違う?」
「いや、膀胱か?トイレ行きたくなる」
「ここがGスポットなんだって…感じないか…んー…」
「ごめん。一旦イって楽になれよ、締めるから、」
「あ♡ほんと締めるのだけは上手…ッあ♡ん、珠ちゃんッ♡たま、あ、出ちゃう、出、あ、あー♡♡♡」
「……」
トクトク打つ脈動は何となく感じられる、感覚はあるのにそれが快感へと繋がらない。
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