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episode:11…本当はね
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しおりを挟む「篤人、なに…何のバイト?お前…変なことしてんじゃねぇだろうな⁉︎」
「してないよ、ただのホスト。まとまったお金が入ったからしばらく楽ができるよ」
「篤人!」
「……冗談だよ。ボクが珠ちゃん以外の女の人苦手なの知ってるでしょ」
そりゃあ篤人はビジュアルだけのリア充だから息の荒い女豹どもに囲まれたら固まって動けないはずだ。
だからあの元カノジョさんとも他の女も避けて来たのだ。
でもそんな苦手なことをしてまで私を守ろうとしたのかと思った、今の篤人ならそれくらいやりそうな気がして…しかし撤回されれば思い上がりが恥ずかしくなる。
「じゃあ何だよ、まさかカラダ売ったり…」
「ある意味そうなのかな」
「あ、篤人…」
「ごめん、冗談が過ぎた。撮影会したんだ、コスプレして。そういうイベント仲介サイトを通してね」
「へ…お前のバイトってそんななのか?」
「都会の若者相手に接客業とか怖いんだもん。モデルならチヤホヤしてもらえるしね」
「どんだけ…」
ホテルまでの道中に聞き出したところ、篤人はSNSにコスプレイヤーとしてのアカウントを持っておりちまちま写真を上げていたらしい。
オタクであることはもちろん知っていたがそっち方面もしてるとは知らなかった、写真を見せてもらったがメイクも衣装もなかなかの出来でフォロワー数も1万人を余裕で超えていた。
「お前さぁ…」
「良いでしょ、昔の『ドリクエ』とかその辺の好きなキャラを中心にしてるかな。頼まれてイベント行ったこともあったけど、オタクに囲まれるのって好きじゃないんだよね。えへ」
「リア充とオタク両立させてんじゃねぇよ」
「承認欲求か満たされるんだもーん♡あ、珠ちゃんのアカウントもチェックしてるよ」
「…は?」
「ブクマしてこっそり見てるよ♡」
「……コロス…」
私のアカウントはなんてことない日々の小さな発見とかオタ活のあれこれを垂れ流してるだけのつまらないものだ。
しかし日記代わりのそれを常に監視されていたことに怒りと羞恥が湧き上がる。
「生存確認も兼ねてたんだ、でもこっちに来てからオタ活もあんまりしてなさそうだったから様子を見たりね」
「…ダッセぇ、夢とか語ってたろ…」
「うん、陳腐なゲームシナリオもね、でもボクあの2作目のは結構好きだったけどなぁ」
「ヤメテ」
「着いたよ、今日のお宿でーす」
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