幼馴染はイケメン高学歴リア充、だけどぽっちゃり喪女の私に夢中でなかなかの変態だからもったいない。

茜琉ぴーたん

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episode:9…救世主

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「…ほんと痩せたね」

歩いて駅まで向かう道中、篤人がぶかぶかになった私のシャツの襟首を摘んで胸元を覗く。

「やめっ…馬鹿!……でもブスなんだろ?意味ねぇ」

「普通の生活に戻れば適正体重に戻るよ。珠ちゃんは骨格が細身じゃないからね、スレンダーにはならないかも」

「…戻れるかな」

身なりは整えたけど見窄みすぼらしい気分、メンタルが良くなっても頭が良くなる訳ではない。

 学校に行くのが怖い、もうやりたくない。

 口に出してしまうともう後戻り出来そうにない。

「珠ちゃん…辛いのは学校?それとも東京?」

「…どっち、も…」

「せかせかして賑やかで…郊外と言えども実家より騒がしいよね」

「うん…静けさか無くて…でも寂しく…て…」

「学校、勉強が難しいのかな?」

「う、ん…あの…集中できなくて…私、思ってたよりバカで…あの…好きだけじゃ、無理、だった…」

「そう、なりたいものになるって難しいよ。何にしてもね」

「頑張った、の、でも、辛くなって、疲れちゃって、」

「うん、頑張ったよね……辞めたい?」

「分かんねぇ…どうしよう…」

またはらはらと涙が頬を伝う。

 このままでは電車にも乗れないしどこにも行けない。

 相変わらず爽やかな奴が羨ましくて憎らしくてでも愛しくて、私は繋いだ手を引っ張り立ち止まった。

 そして

「エッチしよ、篤人」

と白昼堂々道端で求愛すれば篤人は相当に面食らって、でも

「……それで元気になるの?」

と口の端がいびつに笑う。


 これでしか返せない、私は恩返しの前払いを買って出た。

 でもそれだけじゃない、私より先を行くことへのちょっとした腹いせ…同じラインまで戻って来いと引きずり下ろすような意図も含まれていた。

 そして満たされたい、必要とされたい、可愛がられたい、癒されたい…篤人あつとが私を使って高校時代を乗り切ったように、私もセックスでこのモヤモヤを解消してみたくなったというのもある。

「分かんねぇ…でも、しばらくシてねぇじゃん、もう私に飽きた?」

「違う、ホテル代も掛かるし忙しいし自制できるようになっただけ…泣いてる子を無茶苦茶になんて出来ないよ」

「無茶苦茶にしてなんて頼んでねぇよ」

「…じゃあどうして欲しいのさ」


 「ん?」と聞き返す眉の偏屈へんくつなこと。

 それでいてセクシーで救世主みたいでこれまで見たどんな男よりもやっぱり抜群に顔が良い。

「好きにしてくれよ」

まばたきしたら涙のしずくがシャツに落ちてバストトップがじんわり変色する。

 篤人はそれを見て

「エッチなんだ、たまちゃん…嬉しいよ、初めて誘ってくれた♡」

と道の真ん中で私を抱き締めてキスをくれた。



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