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episode:3…君に決めた

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 そして迎えた土曜日…自転車で懐かしい小学校へ出向けば、約束の場所にはもう篤人あつとがちょこんと座って私を待っていた。

 あの頃は全身あったはずの二宮金次郎像は何があったのか今や草履ぞうりの足だけになり、篤人はその横のベンチの座面をぺんぺん叩いて

「どうぞ、」

と座るよう促してくる。

「うん…早いな」

たまちゃんに会うの楽しみで…へへ」

「これ…ニノキン、何があったんだ?」

「経年劣化らしいよ。ある日いきなり崩れたんだって。怖いよね」

 背は高く顔つきはシャープになったけれど変わらないこのくしゃっとなる笑顔、ロケーションのせいもあって私はすぐに小学生の頃の気分に戻ってしまった。

 校庭では地域のスポーツ少年団が野球の練習をしていて、決まった間隔でボールがバットに当たる快音が聴こえてくる。


「それはさておき…まさか駅で会うとはな…抱き合ってた子、彼女?」

「やだ見てたの?」

「見せつけてたじゃん」

「違うけど…大胆なんだよね…カノジョ」

 おぉもう惚気の始まりか。

 しかし重いリュックから水筒を出すも篤人は浮かない顔でため息を吐いた。

 もしかして上手くいってないのか、しかしそれを打開する方法なんて私が知るはずないだろう。

 淹れてきた麦茶をちびちびやっていると篤人はぼそぼそと勝手に話し出す。

「カノジョさ、ボクの見た目が好きで付き合ってるんだ」

「そりゃあ…それも基準と言うか…選ぶ条件のひとつじゃねぇの」

「ううん、顔だけ。性格は大人しい方だから舐められてる」

「ふぅん?」

 駅で会った時とは雰囲気が違う。

 覇気とか勢いとかとにかく陽のオーラがしおしおとヘタって陰鬱な空気感が辺りに漂う。

 小学生の頃の大人しい篤人を彷彿ほうふつとさせるもじもじいじいじした話し方は懐かしくも少しイラッとしてしまった。

「アクセサリーだよ、一緒に居てサマになるからって…口答えしないのを良いことに尻に敷かれてる」

「でも好きで付き合ってるんだろ?」

「…いや……入学して、取り巻きみたいのが付いて…色んな子から告白されて…でも最初は断ってたんだ。初めてだったしよく分かんないから…女の子慣れしてる風に見せて理想が高いんだよって跳ね除けてたんだ。そしたらその中に上級生の有力者みたいな男子の元カノがいたみたいで…『何様だ』って呼び出されたんだ…なんとか収めたんだけど入学早々辛いし男子からも嫌な目で見られるし…弱ってるとこに今のカノジョが告白してきてさ、もう疲れちゃってOKしたんだ」

「そりゃそりゃ」
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