幼馴染はイケメン高学歴リア充、だけどぽっちゃり喪女の私に夢中でなかなかの変態だからもったいない。

茜琉ぴーたん

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episode:6…篤人の決断

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 生理も山場を越えて自転車を漕ぎ易くなった月曜日の放課後。

 帰宅するとうちの玄関の前に見慣れた自転車と、しゃがんでダンゴムシみたいになった篤人あつとが居た。


「篤人?」

「…おかえり、たまちゃん…はぁー、キツかったよ」

「何、もう虐められた?」

私も自転車から降りて所定の位置に停めて、表では目立つので浮かない顔の篤人を家に入らせる。


 陰湿なやり口の嫌がらせをされたのか、私の部屋へ入るや否や篤人はベッドへとダイブして私へ手招きした。

「珠ちゃん、添い寝して」

「…生理中だぞ」

「知ってるよ、何もしない。ただの添い寝だってば」

「まぁ…着替えてからな」

スカートのプリーツの折り目がシワになるのが嫌で、更衣室でやるみたいにもぞもぞ手品みたいに普段着へと着替える。

 セックスするわけではないから下着姿を見られるのが恥ずかしいのだ。

 でも別室へ逃げるのも意識しているようでしゃくだなと思った次第である。


「…今朝学校行ったらさ、カノジョとそのトモダチに囲まれた。『恥かかせてどういうつもりだ』って…どうもこうも無いよ、体の相性なんだからさ」

「まぁ…そうなのか、な?」

「個人の性事情を人に話すのもどうかと思うけどさ、驚きの情報拡散力だよ、クラスの子もみんなボクとカノジョが別れたことを知ってた。そんで3年生の男子に呼び出されてさ、『俺の元カノに何してんだ』的な…臭い息で言うわけさ、もう…どうでも良いよ、ボクを攻撃して元カノとヨリ戻すとかダサ過ぎじゃんか…好きにしろよって」

「言ったのか?」

「言えるわけ無いじゃーん……ヘラヘラかわしただけ、ダッセぇの……ハァ~…」

保身は成功したのか、しかし悔しそうな顔で篤人は私を抱き締めて一際大きなため息を吐いた。

 進学校なくせに色恋に忙しいなんて変なの、それとも賢いから恋愛に割ける余分な時間があるのか。

 首に掛かる息がやはりくすぐったい。

「んで…私のことを言ったんだろ?」

「うん…そしたら『別れてすぐ新しい彼女を作るとは何事か』って…ギャンギャンうるせぇの、風紀委員かっつーの。んでカノジョが出て来てさ、『私のために争うのはやめて~』みたいに元カレに抱き着いて元サヤ?みたいな…完全2人の世界だったよ、ボクを邪魔者に仕立て上げてうっとり浸ってたわ」

「へぇ…そいつ、その元カレって篤人よりイケメンなのか?」

「どうだろ。実家が開業医でトーダイ志望らしいからボクより賢いんじゃない?将来有望ってこと」

「じゃあ丸く治ったんじゃん?」

「そこはね。でもさっき帰りに靴の中に画鋲がびょうが入ってた。踏まなかったけど…嫌がらせ開始って感じかな」

昔されたいじめを思い出すのだろう、篤人はこの先起こり得る事態を想像して身を震わせた。
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