幼馴染はイケメン高学歴リア充、だけどぽっちゃり喪女の私に夢中でなかなかの変態だからもったいない。

茜琉ぴーたん

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episode:5…日和見保身クソ野郎

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「…ン…私の話は関係無いだろ」

「珠ちゃんがボクの彼女だったら、みんな納得すると思わない?」

「思わねぇよ、なんの罰ゲームだって話題になるだけだろ」

「そうかな」

「そーだよっ……イケメンは美人と一緒になれよ、もったいねぇ」

「…珠ちゃんだって可愛いじゃん、デブだけど」

 こいつは保身大好きのくせに私には辛口だ。

 そして悪気は無いように見えて本当は悪意も含まれていたりする。

「それはお前の価値観では、ってことか?」

「ううん、デブなのは誰が見てもそうだよ」

「コロス」

「不細工だなんて思ったこと無いよ。そりゃアイドルみたいなきらびやかな美人じゃないよ、でも可愛いじゃない。目は二重だし肌はキレイだし」

「パーツで褒めるな」

「好きなことを楽しんでて可愛い、愛嬌がある」

「それ、ブスを褒める時の常套句じょうとうくだろ」

「ブスじゃないよ、珠ちゃんはデブなだけ。それもぽっちゃりさん、激デブじゃない」

客観的事実だろうが侮蔑ぶべつの言葉は人間関係を壊すに充分な理由になったりするのだが、これでも篤人はフォローしているつもりらしい。

 ならば言い回しにも気を遣えと言いたいが、表向きリア充篤人の反動なのか私の前ではとことん素を出すと決めているそうだ。

 誠に失礼な話である。


「黙れ、殴る、コロス」

「激デブでも良いよ、体型にケチなんて付けない。一緒に居て楽しいんだからそれが一番でしょ?ボクじゃダメかな?」

「いや、お前リア充で居たいんだろ?デブ連れてたら台無しだろ」

 奴の手は私の胸を揉みしだいて私はそれをペチペチ叩く。

 見た目に関係無く私を愛してくれるのかと少し考えが傾き出したのだが、

「だから、ボクみたいなイケメンリア充がぽっちゃり彼女連れてたら、『見た目で女を選ばない心もキレイな男子』って思われるじゃん?ボクの株が上がるじゃん」

と抜かすので甲に爪を立ててやった。

「…とりあえずコロス」

「イタタ……殺して良いよ、どっちにしてもボクは誰に告白されてもカメショー甕倉商業植木うえき珠実たまみさんと交際してる』って答えることにする。そしたら暇な人はカメショーに珠ちゃんを見物しに行くだろうね、こうなりゃ一蓮托生だよ」

「汚ねぇぞ」

篤人は都合の良い恋人役が欲しいのであってそこに私が当てはまっただけ、それなのにここまで重責を負わせるのは酷ではないか。

 だいたいあの日駅で出会わなければこんなことにはならなかったのだ。

 このままならお互い「そんな子もいたな」くらいの淡い思い出となって大人になっていくだけだったはずだ。

 偶然再会しただけの私を巻き込みやがって…爪が食い込んだ所を撫でてつねる方に変えて、腰にぐりぐり当たる奴の股間を潰すイメージで骨盤で押し返した。

「んッ♡……ボク、日和見ひよりみでヘタレのクズだよ。でも珠ちゃんはイケメン彼氏が出来るんだから悪いこと無いでしょ?」

「いや、いや…お前と一緒に歩けねぇって…溶けるわ」

「なにそれ…珠ちゃんおもしろーい」

「……何かの罠かと思っちまうな…」


 篤人のことは5割くらいは信用しているがその周りの者はどうだか分からない。

 遠くで近くで「釣り合ってない」と指を差され笑い者になるようなことは絶対にしたくない。

 そしてそれは私だけではなく篤人にも向けられる嘲笑ちょうしょうなのだ。

 女の趣味で人格を褒められてもそれが全て賞賛とは限らない…デブ専だブス専だと皮肉も言われるだろう。

 まぁ私は自分のことを不細工だとは思っていないし篤人も同意見なのだが、太っていることは事実としてあるので馬鹿にされる材料になり得る。
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