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episode:3…君に決めた
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しおりを挟むだいたい「ボクは誰とも付き合わない!」とか宣言しておけば勝手に広まって女も寄り付かないだろうに、しかし篤人は
「……キャラじゃないんだよねー」
とワックスで盛った髪の毛先をねじねじと指で弄る。
「はぁ?」
「ボク、のらりくらりの優男キャラじゃない?」
「知らんけど」
「卒業するまで立場悪くしたくないし、過激派が恐いだけで適度にモテるのは嫌いじゃないんだよね」
要はリア充モテ男の地位は捨てたくないとのこと、とことん馬鹿にした内容に感想さえ言いたくもなかったが、
「……シネ、以上…帰る」
と急いで荷物をまとめて自転車へ跨った。
「待ってよ、珠ちゃん‼︎」
後ろから篤人の弱々しい声と自転車の鍵を開ける音がした。
追い付かれてなるものかと必死でペダルを漕ぎ道路へと出る。
「馬鹿か……はァ……キメェな…」
通学路の風景を懐古している暇など無い。
大きく踏み込んで人目のある車道脇の歩道を選び前傾で髪を靡かせた。
流れて行く風景と楽しかった思い出とがベタベタの黒いスライムみたいなもので穢されて爛れて行くイメージがした。
もうあの頃の篤人は居ないんだと思えば記憶の中の奴さえもべぇっと舌を出して私を嗤う。
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