幼馴染はイケメン高学歴リア充、だけどぽっちゃり喪女の私に夢中でなかなかの変態だからもったいない。

茜琉ぴーたん

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episode:0…篤人と珠実

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たまちゃん、ここ、ホクロ増えてる」

「ん、マジか、何でだろ」

 篤人あつとは社会人からの眼鏡ユーザーだけど、本当は両眼とも視力2.0だ。

 だから裸眼でも私の背中に新たに出来た斑点を簡単に見つけるし、視力はさておいても目ざといから私の変化にすぐ気が付く。


「陽に焼けたのかな、今年海とか行った?」

「んーや、行ってない…知ってんだろ、休みと言う休みは全部お前と一緒だったじゃん」

「だよねぇ、老化かなぁ、やだねぇ」

「まだ20代だぞ…今が女の旬だわ」

「旬の女の子はゲームや漫画より大切なことがあるもんだよ…ん…ねぇ、もうセーブできた?こっちに集中してよ」

ホクロを見付けた篤人は今私の背後に居る。

 私からは見えないし確認する気も無いけれど、その頬は紅潮して瞳はうるうると濡れているはずだ。

 篤人は24歳で家電量販店勤務、ひょろい優男でイケメンでモテて…結構な変態だ。


「もうちょい…ボスが結構…手強いんだ…」

「んッ…次のターンで仮面が落ちるから、そこ狙って」

「は、お前、クリアしてんの?」

「うん、これでもゲーマーだもんね、ん♡」

「んだよ…」

「早めにやり込まなきゃ、珠ちゃんにアドバイス出来ないし」

「はいはい…ん、はい倒したー、チョロいね、フゥー」

うつ伏せでゲームを嗜んでいた私こと珠実たまみはちょうど良い区切りまで進めて勝鬨かちどきを上げて、電源ボタンをポチリで画面を暗転させた。

 最近のゲームはオートセーブ機能が付いていて便利だ。

 セーブスポットまで主人公を走らせなくて済むから実に楽で良い。

 しかしフィルム貼りの画面に映り込む仏頂面の私と覗き込む篤人の落差たるや…美女と野獣とはよく聞くけれど、イケメンと喪女の例えとは何だろうか。

「おめでと、二人の共同作業だね、ねぇ、あ、画面にボクら映ってる、エッチだね♡」

「…お前はどんな角度でもイケメンだな」

「珠ちゃんだって可愛いよ、あ、そんなうつむくと二重アゴになるよ」

「うっせぇ」

 喪女だろうが太っていようが、篤人は「可愛い」と言ってくれる。

 私が奴に従順に体を開いたり人間らしいきちんとした生活をしていれば、必ずレディーとして扱ってくれる。

 しかし容姿いじりはやめる気が無いらしい、反論したって事実なのだから勝てる気もしないが。

「どんなに肥えたってボクは珠ちゃんが好きだよ、質量増やしちゃお」

「太って不健康になったら意味ねぇだろ」

「動いて働けるデブならオッケーだよ」

「はぁ」

 こいつの中では私はどれだけ体重を増やそうが問題ではない。

 せっかく痩せていたのをまた太らせようと、美味しい食べ物や甘いお菓子を貢いでくるのだからむしろ推奨しているのだ。


 ありがたいが肥満談義に嫌気がさした私は巻き込まれないようにゲーム機をベッドの下のカゴへと避難させて、待たせてしまった篤人へ体で合図した。


「ん、あ、締まった♡」

「ん」

「ねぇもう良い?揺らしても良い?」

「さっきから充分揺れてたわ…あ、新しいソシャゲの体力回復してるから消費しとこうかな」

「もぉ良いじゃん!おちんちん消費してよ!」

「どういう意味だよ」

 篤人は私がゲームで遊んでいる間ずっと寝バックで腰を振り続けていた。

 間というかゲームしている私に勝手に入って来やがったのだ。

 別にこれは珍しいことでもないし非同意でもない。

 恋人である篤人は私の気持ちがどこにあろうとこうして一緒になりたがる。
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