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5◆ジルベルト視点

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僕は、お兄ちゃんに言い寄る人が嫌い。

「ミカエル様!私の手作りマフィンを受け取ってください!」

一人の令嬢がお兄ちゃんに近寄り、可愛らしいラッピングのマフィンを渡そうとしていた。

僕は、それが許せないと思ったんだ。

だけど、お兄ちゃんはそんな物は受け取らない。

お兄ちゃんが喜ぶのは、僕の作ったお菓子だけだからね!

そんな得体の知れない物は受け取らないし、絶対口にしない。

何人もの令嬢が同じように手作りのお菓子や料理を渡そうとして、何人もそれを拒否られた。

なのに、次から次へと渡そうとする人が出てくる。

僕のお兄ちゃんなのに!

僕のお兄ちゃんなのに!!

「悪いけど、弟の作ったお菓子以外は食べるつもりがないんだ。だから受け取れない」

「たかが弟の作った物より、私の作ったマフィンの方が美味しいですわ!」

「あ?」

あ~あ……。

お兄ちゃんを怒らせたね。

きっと、お兄ちゃんを怒らせるなんて思ってなかったんだろうな。

けれど、そんなの自業自得だから僕は何も言わない。

お兄ちゃんに怒られてしまえ!

そして、お兄ちゃんを諦めて!

お兄ちゃんを狙うなら僕の敵だ!

僕は、お兄ちゃんを狙う令嬢をとにかく睨んだ。

だけど令嬢は僕の方を欠片も見ないから、僕の眼差しになんて気づいていない。

かなり怒りと恨みと殺気を混ぜ込んだ視線のはずなのに、その視線は欠片も伝わっていない。

歳か!

歳なのか!?

僕の歳が足りないのか!!

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