松田さん家の愛犬はめちゃくちゃデカイ

3◆アリーの抜け毛玉でぬいぐるみ

アリーをブラッシングすると、大量のふわもこな抜け毛が出るから玉にしている。

そして、せっかく山盛りある抜け毛玉を上手く再利用するために、ちょっと手芸を初めてみた。

フェルトっていうぬいぐるみで、頑張ってみた結果不恰好な犬っぽい何かが完成した。

「葵、可愛い……熊だね」

「犬です。アリーです」

「熊バージョンのアリーか！可愛いね」

「犬です………」

犬のアリーを作ったはずが、熊にしか見えない悲しさよ………。

しかし、アリーは喜んでいるようで早速オモチャにして遊んでいる。

大事そうにハムハムと抱き締めながら噛んで、ぬいぐるみは涎まみれだ。

「アリー、良かったね。葵、ありがとう」

「抜け毛玉でまた作るから、いずれは上手になります」

「ふふ、充分上手だよ」

せめて、ちゃんと犬が犬にみえるように完成させたい。

背中に松田さんが乗ってきて甘えながら熊と言ったことを謝るが、俺の決意は固いよ。

「松田さん用のぬいぐるみも作るつもりです」

「嬉しいな。じゃあ、葵とお揃いがいいね」

お揃いになるほど上手にできる自信はまだないけど、アリーの抜け毛玉はブラッシングの度に溜まるから問題ない。

特に、抜け毛の季節なんかは凄まじい抜け毛玉が出来上がる。

きっと俺の手芸技術もバリバリメキメキと上達するだろう。