華奢な引きこもり魔術師と、マッチョな押しかけ女房

ミクリ21

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12◆ジルベルト視点

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ところで、家族にマチルダを会わせるのは仕方ないとして………。

「マチルダ、着ていく服って決めているんですか?」

「男物だが、ちゃんとあるぞ」

「………女物は?」

「私に女物が似合うと思うか?」

「………」

確かに、女物が似合わないような気はする。

でも、腐っても令嬢なんだからやはりドレスを着るべきだろうな。

「ドレス………買いましょうか………」

「ジルベルト………まさか、私にドレスを着ろと言うのか?」

「そうですよ」

「ジルベルト。先に言うが、私のサイズのドレスはまず売られていない。特注品になる。素直に軍服にしよう」

グイグイくるタイプだったマチルダが、初めて弱い一面をみせたことにより、俺の中でちょっとした悪戯心が芽生えてしまった。

「特注品でも大丈夫ですよ!俺の使い魔優秀ですから、任せてください!」

長年引きこもりしているだけあって、いろんなタイプの使い魔を使役しているんだ。

裁縫が得意の使い魔も当然いるのさ!

「え!?いや、しかしだな……!!」

「材料も使い魔に買ってこさせますよ。マチルダに似合うものをセレクトしてもらいましょう!」

「ま、待て!ジルベルト!」

「待ったなし!!」

この時の俺は、慌てているマチルダを楽しんでいた。

でも、それは次の日………ドレスが完成して笑っていられなくなった。



「うぅ……恥ずかしい………」

全裸でも恥ずかしがらないマチルダが、ドレスを身にまとい恥ずかしそうに赤面している。

如何に身体を美しく魅せるかを考え抜かれたデザインは、マチルダの男のような身体を女性らしく魅力的に引き立てていた。

ドクン……ドクン……。

マチルダから、目が離せない。

その美しさに、恥ずかしがる可愛さに、俺の鼓動が高鳴って止まらない。



俺は………この時に、彼女に……マチルダに……恋に落ちてしまったみたいだ。
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