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69◆チェルシー視点

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初めてみるその森は、とても幻想的で美しい森です。

もしや、あの魔方陣は噂ぐらいでしか聞いたことのない転移系の罠だったんでしょうか?

「チェルシー、向こうに何かいる………」

ラフィが、森の奥を指差してそう言いました。

「不思議な場所……だけど、悲しくなる………。どうしてだろう?」

ミーシャは、泣きそうな表情で胸を押さえています。

確かに、何故か悲しくなります。

不思議ですね………。

「とにかく、進んでみようぜ?」

ロワクレスはわりと平気そうですけど、やはり悲しくなるのは皆一緒らしいです。

とりあえず、僕達は奥に進むことにしました。



開けた場所に出ると、ある物をみつけました。

………あれは、棺桶でしょうか?

ガラスで作られた綺麗な棺桶です。

その中には、とても美しい青年が眠っていました。

「あ、この人……人形だよ!」

ラフィが青年をじっとみていると思ったら、青年が人形だと気付いたようです。

「確かに人形ねぇ………。でも、変な気配がするわぁ」

ファルは青年を警戒している様子ですね。

ルイスも、青年を警戒しています。

「チェルシー、ちょっと後ろに下がっていようね」

「私のチェルシー様、私が守るからね!」

シフォンとギルバートは、僕を青年に近寄せないようにガードしています。

しかし………。

「え?……うわぁーーー!?」

いきなり僕の身体がふわふわ浮いたと思ったら、青年のところまで飛ばされてしまいました。

そして……青年の瞳が開いて、青年はこう言ったのです。

「人間……欲しい……だから……食べる………」

「!!」

急激に身体から魔力が抜けて、僕はそこで気を失ったようです。

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