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7◆アデル視点
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「………殴ってごめんなさい」
沈黙に堪えられなくて、さっき殴ったことを謝った。
「いや、私こそすまなかった。……食べるといい。美味しいぞ」
ジュリアナさんは、お菓子を僕に勧めてくれたから遠慮なく食べた。
ジュリアナさんは食べないのか、みているだけなのでお菓子をジュリアナさんの口に突っ込んでやった。
どうせなら一緒に食べたほうが美味しいよね。
「アデル、どうして泣いていたのか教えてくれないか?私には、アデルが泣いていた理由がわからないんだ。………すまない」
口に突っ込んだお菓子を飲み込んでから、悲しそうな顔でジュリアナさんは言った。
あまりに悲しそうで、迷ったけど………一度だけジュリアナさんを信じてみようと僕は思った。
………もし、兄ちゃんに何かしたら………僕は生きることを止めてやる。
自殺なんてしたくないけど、兄ちゃんに何かあったら僕は生きていけない。
大切な……世界で一番大切な兄ちゃんだから。
「………僕には、兄ちゃんが一人います。大切なたった一人の家族です。会いたいんです……帰りたいんです……兄ちゃん、会いたい………」
僕の瞳には、また涙が溢れ出して………ジュリアナさんは僕を真剣な眼差しでみつめていた。
「アデル………その兄は、アデルを恋愛感情や性的感情でみていないか?みていないなら、連れて来よう。だが、アデルを兄のいる家には帰してやれない」
僕は、真剣な顔をしているジュリアナさんの言葉について考えてみた。
兄ちゃんは、僕を恋愛やら性的やらの感情ではみていない。
多少ブラコンだけど、保護者の範囲内だ。
世話好きのお母さんみたいで、頼りになるお父さんみたいで、恋愛や性の対象は女性らしいけど、弟の僕を大事にし過ぎていつもフラれている。
………兄ちゃんを連れて来るって、まさか無理矢理?
それとも、ちゃんと招くの?
兄ちゃんがジュリアナさんを許すとはとても思えなかった。
僕を誘拐した犯人で、僕を勝手に伴侶だと思っている頭がイカれた野郎。
………兄ちゃんと殴りあいの喧嘩になったりしないかな?
あと、やっぱり家には帰れないのか………。
沈黙に堪えられなくて、さっき殴ったことを謝った。
「いや、私こそすまなかった。……食べるといい。美味しいぞ」
ジュリアナさんは、お菓子を僕に勧めてくれたから遠慮なく食べた。
ジュリアナさんは食べないのか、みているだけなのでお菓子をジュリアナさんの口に突っ込んでやった。
どうせなら一緒に食べたほうが美味しいよね。
「アデル、どうして泣いていたのか教えてくれないか?私には、アデルが泣いていた理由がわからないんだ。………すまない」
口に突っ込んだお菓子を飲み込んでから、悲しそうな顔でジュリアナさんは言った。
あまりに悲しそうで、迷ったけど………一度だけジュリアナさんを信じてみようと僕は思った。
………もし、兄ちゃんに何かしたら………僕は生きることを止めてやる。
自殺なんてしたくないけど、兄ちゃんに何かあったら僕は生きていけない。
大切な……世界で一番大切な兄ちゃんだから。
「………僕には、兄ちゃんが一人います。大切なたった一人の家族です。会いたいんです……帰りたいんです……兄ちゃん、会いたい………」
僕の瞳には、また涙が溢れ出して………ジュリアナさんは僕を真剣な眼差しでみつめていた。
「アデル………その兄は、アデルを恋愛感情や性的感情でみていないか?みていないなら、連れて来よう。だが、アデルを兄のいる家には帰してやれない」
僕は、真剣な顔をしているジュリアナさんの言葉について考えてみた。
兄ちゃんは、僕を恋愛やら性的やらの感情ではみていない。
多少ブラコンだけど、保護者の範囲内だ。
世話好きのお母さんみたいで、頼りになるお父さんみたいで、恋愛や性の対象は女性らしいけど、弟の僕を大事にし過ぎていつもフラれている。
………兄ちゃんを連れて来るって、まさか無理矢理?
それとも、ちゃんと招くの?
兄ちゃんがジュリアナさんを許すとはとても思えなかった。
僕を誘拐した犯人で、僕を勝手に伴侶だと思っている頭がイカれた野郎。
………兄ちゃんと殴りあいの喧嘩になったりしないかな?
あと、やっぱり家には帰れないのか………。
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