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3◆アデル視点

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魔族………それは人間とは敵関係にあり、仲も絶望的なほどに悪い。

目の前の魔族の人は、僕に近づきいきなり抱き締めてきた。

「アデル、一人にしたから不安になったのか?すまない……アデルの食事を用意していたんだ」

本当にすまなそうに謝る魔族の人は、さっきから僕の名前を言っているけど………貴方誰ですか?

僕はずっと知らない魔族の男の人に、名前を呼び捨てにされている。

「あの、状況が全然わからないんですけど………」

「ん?……私のことを知らないのか?」

いや、初対面だろ………。

いくら美形な顔していても図に乗るなよ。

地味男をナメるな!

僕が魔族の人のことを知らないのが余程ショックだったみたいで、ガーン!って顔してやがる。

「わかった。では名乗ることにしよう。私の名前は、ジュリアナ・ティア・レーリアンという。28歳の魔王だ」

「はぁ…自称魔王さんですか」

「自称ではない。正真正銘の魔王だ」

「わかりました。自称魔王さん」

「………」

自称魔王のジュリアナさんは、困惑の眼差しを向けてきた。

というか、僕は魔王の名前も姿も知らないから、仮にこのジュリアナさんが本物の魔王でも僕にはわからないよ。

本物かわからないから、自称としか言いようがない。

「あの、ジュリアナさん………僕はなんでここにいるんですか?あと、ここはどこですか?」

これはとても重要なことだ。

「ここは私の住む城で、この部屋は地下室だ。アデルに一目惚れしたから連れて帰った。今日からアデルは私の伴侶だ」

ああ……コイツ頭がイカれてやがる。 

僕の最初の感想はそれだった。

意味不明を通り過ぎた回答を聞いて、僕はつい………。

ズゴーン!!

抱き締められていたから、ジュリアナさんの頭に頭突きをキメてやった。

わりと痛かったみたいで、僕を放して蹲っているが………心配してやるつもりはない。
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