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21◆タナトス視点

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歪んだ神は無事に慈愛の神に戻れて、アーミュは本体に戻っていった。

ルミナスもステラベルも、もう操られなくなって喜んでいる。

ルミナスの不死だが、ルミナスが試しに手首を斬って回復しないのをみて心底喜んでいたが、無闇矢鱈に自傷行為するんじゃありません!

慈愛の神が急いで回復していたので、その傷はすぐに治ったけど………治ればいいって話じゃないんだよ?

ルミナス、視線反らさないの!



あれから、ルミナスは皆に好かれ始めた。

ルミナスは操られていた時は仕方ないけど、本当は優しい人のようで好かれ始めるのに時間はかからなかった。

何も事情を知らない人達は、何故ルミナスがしていないいじめの冤罪をルミナスにかけていたのかを不思議がっている。

ルミナスの婚約者のサファリス殿下も、すっかりルミナスに愛情を向けるようになった。

しかし………。

「お兄ちゃんから離れてよ!お兄ちゃんは渡さないんだから!」

「ルミナスは私の婚約者なんだがな!?」

ステラベルは、相手が王族だろうがお構いなしにルミナスを渡さないとサファリス殿下を睨み付けている。

対して、サファリス殿下は何故ステラベルがルミナスをお兄ちゃんと呼ぶのか不思議そうだが、それでもルミナスは自分の婚約者だと主張していた。

私だって、ルミナスを渡したくないと叫びたい………。

何故なら……私もルミナスを好きになっていたから………。

好きだと伝えたい気持ちはあるが、そんなことをしてもルミナスを困らせるだけだ。

だから………ルミナスに私の想いは伝えない。



………ルミナスを好きになるなんて、最初は想像もしていなかった。

ただ、君の涙の理由が知りたかっただけだった。

君が笑顔でいられるようになって、良かったと思っているよ。

………ルミナス、君の幸せを願うから、君を好きな気持ちは密かにこのまま持っていていいよね?

心の奥に大切にしまって、好きだと絶対に伝えたりしないから、叶わない片想いをしていてもいいよね?

ルミナス……愛しているよ………。







読んでくれてありがとうございました!
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