2 / 9
2◆シルビア視点
しおりを挟む
私は冷酷公爵と呼ばれ、恐れられている。
感情がない故に、自然とそう呼ばれるようになっていった。
私の判断は、冷酷なことが多く慈悲などない。
まぁ、気にしていないがな。
私はその日も、いつもと変わらない一日を過ごすはずだった。
しかし、運命の出会いとは突然くるものだ。
街で、一人の青年が視界に入り甘く切ない何かを感じた。
初めて、感情の一つを感じたんだ。
これは何の感情だ?
彼が欲しくて堪らない。
私は、導かれるように青年に近寄った。
「君、名前は?」
「え?俺ですか?」
彼の声が、彼の瞳が、彼の全てが……私を捕らえて離さない。
強制されるような甘い幸せ。
私を麻薬のように夢中にさせる感情。
………あぁ、わかった。
これは恋だ。
私自身は経験なくとも、そういう気持ちになるものだと聞いてはいる。
しかし、これは恐らく魅了だ。
彼から、魅了の魔術を感じる。
私は魔術に詳しいからわかったことだ。
魅了使いという存在が極少数いて、強制的に恋心を抱くという力。
その恋心は紛い物で、大半の者は魅了使いをよく思っていない。
………だが、なんて甘美なんだろう。
愛というものを今まで一度も理解したことはないのに、これが愛なら手放せない。
「俺はジークです………」
「ジーク、私のものになれ」
「は!?」
平民が貴族に逆らえないのはわかっていてそう言った。
私のものにするための手段なんて、沢山あるものだ。
逆らわないことが身のためで、周りのためだ。
さぁ、賢い選択をしなさい。
「何故」
「欲しいものがあればやろう。ただし、私に逆らうならお前の大切にしている者に私は手を出す」
「!!」
ジークは、逆らえないとわかったらしい。
ジークの家族に手切れ金を渡すなら、ジークは言うことを聞くと私に言った。
私のところに来たら、もう家族には会えないとわかっているからだ。
私はその回答に満足して、ジークの家族に少なくない金を渡した。
ジークの家族が泣いていようと、ジークがどう思っていようと関係ない。
先に私を魅了したのはお前だからな。
そうだろう?
感情がない故に、自然とそう呼ばれるようになっていった。
私の判断は、冷酷なことが多く慈悲などない。
まぁ、気にしていないがな。
私はその日も、いつもと変わらない一日を過ごすはずだった。
しかし、運命の出会いとは突然くるものだ。
街で、一人の青年が視界に入り甘く切ない何かを感じた。
初めて、感情の一つを感じたんだ。
これは何の感情だ?
彼が欲しくて堪らない。
私は、導かれるように青年に近寄った。
「君、名前は?」
「え?俺ですか?」
彼の声が、彼の瞳が、彼の全てが……私を捕らえて離さない。
強制されるような甘い幸せ。
私を麻薬のように夢中にさせる感情。
………あぁ、わかった。
これは恋だ。
私自身は経験なくとも、そういう気持ちになるものだと聞いてはいる。
しかし、これは恐らく魅了だ。
彼から、魅了の魔術を感じる。
私は魔術に詳しいからわかったことだ。
魅了使いという存在が極少数いて、強制的に恋心を抱くという力。
その恋心は紛い物で、大半の者は魅了使いをよく思っていない。
………だが、なんて甘美なんだろう。
愛というものを今まで一度も理解したことはないのに、これが愛なら手放せない。
「俺はジークです………」
「ジーク、私のものになれ」
「は!?」
平民が貴族に逆らえないのはわかっていてそう言った。
私のものにするための手段なんて、沢山あるものだ。
逆らわないことが身のためで、周りのためだ。
さぁ、賢い選択をしなさい。
「何故」
「欲しいものがあればやろう。ただし、私に逆らうならお前の大切にしている者に私は手を出す」
「!!」
ジークは、逆らえないとわかったらしい。
ジークの家族に手切れ金を渡すなら、ジークは言うことを聞くと私に言った。
私のところに来たら、もう家族には会えないとわかっているからだ。
私はその回答に満足して、ジークの家族に少なくない金を渡した。
ジークの家族が泣いていようと、ジークがどう思っていようと関係ない。
先に私を魅了したのはお前だからな。
そうだろう?
2
お気に入りに追加
40
あなたにおすすめの小説
![](https://www.alphapolis.co.jp/v2/img/books/no_image/novel/bl.png?id=5317a656ee4aa7159975)
そんなの真実じゃない
イヌノカニ
BL
引きこもって四年、生きていてもしょうがないと感じた主人公は身の周りの整理し始める。自分の部屋に溢れる幼馴染との思い出を見て、どんなパソコンやスマホよりも自分の事を知っているのは幼馴染だと気付く。どうにかして彼から自分に関する記憶を消したいと思った主人公は偶然見た広告の人を意のままに操れるというお香を手に幼馴染に会いに行くが———?
彼は本当に俺の知っている彼なのだろうか。
==============
人の証言と記憶の曖昧さをテーマに書いたので、ハッキリとせずに終わります。
![](https://www.alphapolis.co.jp/v2/img/books/no_image/novel/bl.png?id=5317a656ee4aa7159975)
そんな拗らせた初恋の話
椿
BL
高校生で許婚の二人が初恋拗らせてるだけの話です。
当て馬と受けが一瞬キスしたりします。
Xのツンデレ攻め企画作品でした!
https://twitter.com/tsubakimansyo/status/1711295215192121751?t=zuxAZAw29lD3EnuepzNwnw&s=19
![](https://www.alphapolis.co.jp/v2/img/books/no_image/novel/bl.png?id=5317a656ee4aa7159975)
![](https://www.alphapolis.co.jp/v2/img/books/no_image/novel/bl.png?id=5317a656ee4aa7159975)
闇を照らす愛
モカ
BL
いつも満たされていなかった。僕の中身は空っぽだ。
与えられていないから、与えることもできなくて。結局いつまで経っても満たされないまま。
どれほど渇望しても手に入らないから、手に入れることを諦めた。
抜け殻のままでも生きていけてしまう。…こんな意味のない人生は、早く終わらないかなぁ。
![](https://www.alphapolis.co.jp/v2/img/books/no_image/novel/bl.png?id=5317a656ee4aa7159975)
王子様と魔法は取り扱いが難しい
南方まいこ
BL
とある舞踏会に出席したレジェ、そこで幼馴染に出会い、挨拶を交わしたのが運の尽き、おかしな魔道具が陳列する室内へと潜入し、うっかり触れた魔具の魔法が発動してしまう。
特殊な魔法がかかったレジェは、みるみるうちに体が縮み、十歳前後の身体になってしまい、元に戻る方法を探し始めるが、ちょっとした誤解から、幼馴染の行動がおかしな方向へ、更には過保護な執事も加わり、色々と面倒なことに――。
※濃縮版
![](https://www.alphapolis.co.jp/v2/img/books/no_image/novel/bl.png?id=5317a656ee4aa7159975)
黄色い水仙を君に贈る
えんがわ
BL
──────────
「ねぇ、別れよっか……俺たち……。」
「ああ、そうだな」
「っ……ばいばい……」
俺は……ただっ……
「うわああああああああ!」
君に愛して欲しかっただけなのに……
悩める文官のひとりごと
きりか
BL
幼い頃から憧れていた騎士団に入りたくても、小柄でひ弱なリュカ・アルマンは、学校を卒業と同時に、文官として騎士団に入団する。方向音痴なリュカは、マルーン副団長の部屋と間違え、イザーク団長の部屋に入り込む。
そこでは、惚れ薬を口にした団長がいて…。
エチシーンが書けなくて、朝チュンとなりました。
ムーンライト様にも掲載しております。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる