1 / 9
1◆シルビア視点
しおりを挟む
『シルビア、貴方が幸せになるようにその名前を贈るわ』
母だった女に言われた言葉。
あの女は、きっと知らないだろうな。
私が生まれてからの記憶を、私は全て覚えていることを。
『女を生んだのか?いらんな。捨てよ』
『待ってください!シルビアは男の子です!』
『こんなに女顔なのにか?はぁ……これには跡継ぎは無理だな』
父だった男は、私があまりに女顔だったのが気に入らなかったそうだ。
女が必死で説得して、私は捨てられずに済んだ。
だが、それからは不遇を強いられる生活だった。
そして、女は男の子を生むために身体を酷使されたが、身籠ることはなかった。
医師に診てもらうと、子宮に問題がありもう生むことはできないと診断された。
男は、泣く女を慰めない。
そして、女は心の病で死亡した。
………ということになっているが、実際は違う。
男が女に死ぬことを強制したのだ。
………私を殺されたくなかったら、毒を自分で飲んで死ねと。
女は、絶望しつつも従った。
私を……守りたかったから。
私は、全てをみていた。
全てを覚えている。
………男が、女の死に微笑みを浮かべたのも……知っている。
私は、男を父と呼ぶことも女を母と呼ぶことも禁止されていた。
だが、私は何も思わなかった。
感情がない私は、嬉しいも悲しいも怒りも……何もない。
だから、私を守った女にも、女を毒殺した男にも何も思わなかった。
私が成人する日に、男は行方不明になった。
探さないでくれという男の筆跡の手紙がある。
だから、私がそのまま公爵になったんだ。
私に跡を継がせると男の筆跡の手紙と書類が用意されていたから、スムーズに公爵になれた。
だから、私は今日からシルビア・ヴァイオレットだ。
不思議に思うか?
あの男がどうしていなくなったのか。
どうして跡継ぎとして認めていかなったのに、跡を継がせたのか。
だって、私が成人したのだからあの男は用無しだから。
今は生きていないさ。
何故知ってるって?
当然だろう。
だって、私が殺したのだから………。
母だった女に言われた言葉。
あの女は、きっと知らないだろうな。
私が生まれてからの記憶を、私は全て覚えていることを。
『女を生んだのか?いらんな。捨てよ』
『待ってください!シルビアは男の子です!』
『こんなに女顔なのにか?はぁ……これには跡継ぎは無理だな』
父だった男は、私があまりに女顔だったのが気に入らなかったそうだ。
女が必死で説得して、私は捨てられずに済んだ。
だが、それからは不遇を強いられる生活だった。
そして、女は男の子を生むために身体を酷使されたが、身籠ることはなかった。
医師に診てもらうと、子宮に問題がありもう生むことはできないと診断された。
男は、泣く女を慰めない。
そして、女は心の病で死亡した。
………ということになっているが、実際は違う。
男が女に死ぬことを強制したのだ。
………私を殺されたくなかったら、毒を自分で飲んで死ねと。
女は、絶望しつつも従った。
私を……守りたかったから。
私は、全てをみていた。
全てを覚えている。
………男が、女の死に微笑みを浮かべたのも……知っている。
私は、男を父と呼ぶことも女を母と呼ぶことも禁止されていた。
だが、私は何も思わなかった。
感情がない私は、嬉しいも悲しいも怒りも……何もない。
だから、私を守った女にも、女を毒殺した男にも何も思わなかった。
私が成人する日に、男は行方不明になった。
探さないでくれという男の筆跡の手紙がある。
だから、私がそのまま公爵になったんだ。
私に跡を継がせると男の筆跡の手紙と書類が用意されていたから、スムーズに公爵になれた。
だから、私は今日からシルビア・ヴァイオレットだ。
不思議に思うか?
あの男がどうしていなくなったのか。
どうして跡継ぎとして認めていかなったのに、跡を継がせたのか。
だって、私が成人したのだからあの男は用無しだから。
今は生きていないさ。
何故知ってるって?
当然だろう。
だって、私が殺したのだから………。
2
お気に入りに追加
40
あなたにおすすめの小説
![](https://www.alphapolis.co.jp/v2/img/books/no_image/novel/bl.png?id=5317a656ee4aa7159975)
そんなの真実じゃない
イヌノカニ
BL
引きこもって四年、生きていてもしょうがないと感じた主人公は身の周りの整理し始める。自分の部屋に溢れる幼馴染との思い出を見て、どんなパソコンやスマホよりも自分の事を知っているのは幼馴染だと気付く。どうにかして彼から自分に関する記憶を消したいと思った主人公は偶然見た広告の人を意のままに操れるというお香を手に幼馴染に会いに行くが———?
彼は本当に俺の知っている彼なのだろうか。
==============
人の証言と記憶の曖昧さをテーマに書いたので、ハッキリとせずに終わります。
![](https://www.alphapolis.co.jp/v2/img/books/no_image/novel/bl.png?id=5317a656ee4aa7159975)
そんな拗らせた初恋の話
椿
BL
高校生で許婚の二人が初恋拗らせてるだけの話です。
当て馬と受けが一瞬キスしたりします。
Xのツンデレ攻め企画作品でした!
https://twitter.com/tsubakimansyo/status/1711295215192121751?t=zuxAZAw29lD3EnuepzNwnw&s=19
![](https://www.alphapolis.co.jp/v2/img/books/no_image/novel/bl.png?id=5317a656ee4aa7159975)
![](https://www.alphapolis.co.jp/v2/img/books/no_image/novel/bl.png?id=5317a656ee4aa7159975)
闇を照らす愛
モカ
BL
いつも満たされていなかった。僕の中身は空っぽだ。
与えられていないから、与えることもできなくて。結局いつまで経っても満たされないまま。
どれほど渇望しても手に入らないから、手に入れることを諦めた。
抜け殻のままでも生きていけてしまう。…こんな意味のない人生は、早く終わらないかなぁ。
![](https://www.alphapolis.co.jp/v2/img/books/no_image/novel/bl.png?id=5317a656ee4aa7159975)
王子様と魔法は取り扱いが難しい
南方まいこ
BL
とある舞踏会に出席したレジェ、そこで幼馴染に出会い、挨拶を交わしたのが運の尽き、おかしな魔道具が陳列する室内へと潜入し、うっかり触れた魔具の魔法が発動してしまう。
特殊な魔法がかかったレジェは、みるみるうちに体が縮み、十歳前後の身体になってしまい、元に戻る方法を探し始めるが、ちょっとした誤解から、幼馴染の行動がおかしな方向へ、更には過保護な執事も加わり、色々と面倒なことに――。
※濃縮版
![](https://www.alphapolis.co.jp/v2/img/books/no_image/novel/bl.png?id=5317a656ee4aa7159975)
黄色い水仙を君に贈る
えんがわ
BL
──────────
「ねぇ、別れよっか……俺たち……。」
「ああ、そうだな」
「っ……ばいばい……」
俺は……ただっ……
「うわああああああああ!」
君に愛して欲しかっただけなのに……
悩める文官のひとりごと
きりか
BL
幼い頃から憧れていた騎士団に入りたくても、小柄でひ弱なリュカ・アルマンは、学校を卒業と同時に、文官として騎士団に入団する。方向音痴なリュカは、マルーン副団長の部屋と間違え、イザーク団長の部屋に入り込む。
そこでは、惚れ薬を口にした団長がいて…。
エチシーンが書けなくて、朝チュンとなりました。
ムーンライト様にも掲載しております。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる