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どうしてこうなったんだろう………

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気がついたら知らない部屋にいた。

とても住み心地の良さそうな部屋には、僕が寝ていたベッドと机と椅子があり、それ以外には何もない。

ここはどこだろうと思っていたら、天井からヒラヒラと花びらが舞い降りてきた。

天井にはシャワーのような穴が開いていて、その穴から花びらが舞い降りている。

よく見たら薔薇の花びらのようだ。

むせ返るような薔薇の花の香りが部屋中に充満していく。

ガチャリ。

部屋の唯一の扉が開いて、一人の男が入ってきた。

男は僕を見るとニヤニヤと微笑み僕に近づいてくる。

「気に入ったか?お前は薔薇が好きだったよな」

「だ…誰?」

「忘れたのか?まぁ別にいい。覚えていようと忘れていようと結果は変わらない。ふふ、愛している。やっと手に入れた」

男は僕の頬に両手を添えるとキスをしてきた。

ゴクン………。

「!?」

「ふふ、ちゃんと飲めて偉いな」

キスで何かを飲まされて、頭がクラクラして、僕は眠りについてしまった。



それからの僕は男に監禁されている。

わけもわからぬまま閉じ込められて、全てを管理されている。

トイレは男が便器を持ってくるまで我慢させられ、お風呂も男がバスタブを持ってくるまで我慢。

食事も栄養バランスを考えてある美味しい食事が三食とオヤツが一日一回。

時計はないけど、特に困ってはいない。

あれ?ちょっと快適かも……と思いはするけど、トイレの我慢だけはちょっとキツい。

「俺がいないと生きられない身体になればいい」

男はそう言っていた。

そのために、我慢させられている。

ちなみに、漏らすとどうなるかというと………。

男が目の前で自傷行為をして、溢れた男の血を舐めさせられる。

めちゃくちゃ恐怖に感じているよ。



「家族に会いたいな………」

ふと僕は呟いた。

薔薇のシャワーを部屋で浴びながら、男は笑顔で答える。

「家族?もういないよ」

「………え?」

「友達も、恋人も、もういないよ」

「………は?」

「だって、皆墓の下だから」

「!?」

男は、僕の大切な人達を殺したと笑顔で言った。

僕の帰る場所を消すために殺したと………。

涙が頬を伝い、男がその涙を舐めてうっとりする。

「お前は俺だけのものだ」

名前も知らない男に、僕は全てを奪われ愛される。

愛の言葉を囁かれ、ベッドに押し倒される僕は、きっと絶望の表情を浮かべていただろう。
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