我が子と間違われて拐われた孤児と、病んでる公爵

50◆ダクラス視点

「おめでとうございます！」

念のためと思っての診察だった。

しかしまさか、たった一夜でルーナが身籠るとは………なんと嬉しいことだろうか！

シアンが、ちゃっかり呼んでいた医師に診察されたルーナは、一瞬キョトンとしてから、瞳を輝かせながらお腹を擦っていた。

嬉しそうなルーナの表情が、私には愛しくてたまらない。

ルーナのお腹にそっと手を添えて、私とルーナの赤ちゃんを祝福する。

私たちのところに来てくれて、ありがとう………！

大切に大切に育てるよ。

私とルーナの愛しい赤ちゃん。



それからというもの、ルーナを職場に連れて行くことはシアンが断固許さなかった。

「ルーナ様は、お腹に赤ちゃんがいるんですよ？安静が第一なのはご理解できますでしょう！」

「で…では、仕事は休んで……」

「旦那様、休みたいなら、まとまった休みが取れるぐらい仕事を全部終わらせればよろしいでしょう。旦那様ならそれぐらい、できますよね？」

「全部か……！？」

「ルーナ様への愛の力で張り切ってくださいね。では、いってらっしゃいませ！」

これは、試練なのだろうか？

確かに、ルーナへの愛の力で頑張ったら、できなくはないだろうが………ルーナの睡眠時間までには帰れないだろうな。

ルーナの愛らしい寝顔もいいが、ルーナにお休みを言えないなんて………お休みのキスができないなんて………なんて試練だ！！

だが、１日の我慢で有休が取れるなら………！

その日、私の帰宅は深夜になったが、無事に有休を勝ち取った。

私はルーナの寝顔で癒されて、秒で眠りに落ちた。

ちなみに、1年の休みを取ったから、ルーナの妊娠生活をしっかりサポートするつもりだ。

ふふ、私はルーナの旦那さんだからな！

………ルーナの旦那さん……ルーナの旦那さん……あぁ、いい響きだ。