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29◆ダクラス視点
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湯船に浸かりながら、私はルーナを抱き締めている。
何故かずっと無言のルーナに、私は不安になっていた。
まさか、私のことが嫌いになったのか?
もしもそうなら、私はルーナと心中するつもりだが………。
「なぁ、ルーナ。パパのこと……嫌いかな………?」
「……」
フルフルと首を横に振るから、嫌いではないようだ。
では、どうしてルーナは無言なのだろうか?
「………パパ。パパは、本物と偽物………どっちが好き………?」
か細い震える声で、ルーナはやっと口を開いてくれた。
本物と偽物。
………ルーナは先程の、パルマ(?)のことを言いたいのかもしれない。
本物と偽物………。
あり得ない話だ。
もしも、先程のパルマ(?)が本人なのだとしたら………それはあり得ないことだ。
………本物と偽物。
それを考えるということは、私に………パルマの死を理解した上で考えなくてはならないということだ。
そうしないと、考えられない内容だからだ。
「………ねぇ。もう、僕は………いらない………?」
湯船に浸かっているのに、震える身体。
ああ、そうか……。
ルーナは、不安なんだ。
本物と偽物。
本物の我が子がいたら、偽物の我が子はいらないのと、不安なのだろう。
………。
「私はルーナが必要だよ。私の愛する可愛いルーナ」
抱き締めても、震える身体は震えたままだ。
言葉だけでは、ルーナを安心させてあげられない。
今必要なのは………現実を受け入れた上での私の答えだ。
「………」
「………ルーナ」
………現実を…パルマの死を……私は受け入れなくてはならない時がきてしまったのかもな。
そして、受け入れた上で………その亡くなった我が子パルマが、何故か生きて目の前にいたことを考え………そして、本物の我が子パルマと偽物の我が子ルーナのことを考える。
「私は……」
私は自問自答をした。
どちらが欲しい?
自分の気持ちに向き合ってみて、私の気持ちはルーナを欲しがった。
確かに、パルマが本物の我が子だ。
だがルーナに、パルマ以上に依存した結果、パルマ以上の愛がルーナに向いているんだ。
パルマには、父親としての愛。
ルーナには、父親としての愛と、一人の男としての愛。
………この気持ちは、パルマへの裏切りだろうか?
パルマを傷つけてしまうだろうか?
たった一人の父親が、本物の我が子ではなく偽物を選び、本物よりも愛するんだ。
………裏切りでしかないな。
だが、私の心は、あんなにルーナにパルマを重ねていたくせに、パルマよりもルーナを愛している。
………もう私は、パルマの父親失格だな。
「私は、ルーナを愛しているよ。パルマよりも、ルーナを愛している。パルマよりも、ルーナが私には必要だよ」
「!!………でも、パルマはパパの本物の我が子なのに」
「だけど今の私は、もうルーナじゃないとダメなんだ。もう、パルマの父親失格なんだ」
「そんなことないよ」
「そんなことあるんだよ」
私は、ポロポロと涙を流し泣き出したルーナの顔をこちらに向かせ、その唇を私の唇で塞いだ。
「んっ!」
軽く交わした口付けだが、ルーナの涙も震えも止まったようだ。
パルマ、すまない。
こんな最低な裏切り者の父親ですまない。
もう私は、パルマの死を受け入れよう。
受け入れた上で、ルーナを愛そう。
パルマの身代わりではなく、ルーナとして………。
何故かずっと無言のルーナに、私は不安になっていた。
まさか、私のことが嫌いになったのか?
もしもそうなら、私はルーナと心中するつもりだが………。
「なぁ、ルーナ。パパのこと……嫌いかな………?」
「……」
フルフルと首を横に振るから、嫌いではないようだ。
では、どうしてルーナは無言なのだろうか?
「………パパ。パパは、本物と偽物………どっちが好き………?」
か細い震える声で、ルーナはやっと口を開いてくれた。
本物と偽物。
………ルーナは先程の、パルマ(?)のことを言いたいのかもしれない。
本物と偽物………。
あり得ない話だ。
もしも、先程のパルマ(?)が本人なのだとしたら………それはあり得ないことだ。
………本物と偽物。
それを考えるということは、私に………パルマの死を理解した上で考えなくてはならないということだ。
そうしないと、考えられない内容だからだ。
「………ねぇ。もう、僕は………いらない………?」
湯船に浸かっているのに、震える身体。
ああ、そうか……。
ルーナは、不安なんだ。
本物と偽物。
本物の我が子がいたら、偽物の我が子はいらないのと、不安なのだろう。
………。
「私はルーナが必要だよ。私の愛する可愛いルーナ」
抱き締めても、震える身体は震えたままだ。
言葉だけでは、ルーナを安心させてあげられない。
今必要なのは………現実を受け入れた上での私の答えだ。
「………」
「………ルーナ」
………現実を…パルマの死を……私は受け入れなくてはならない時がきてしまったのかもな。
そして、受け入れた上で………その亡くなった我が子パルマが、何故か生きて目の前にいたことを考え………そして、本物の我が子パルマと偽物の我が子ルーナのことを考える。
「私は……」
私は自問自答をした。
どちらが欲しい?
自分の気持ちに向き合ってみて、私の気持ちはルーナを欲しがった。
確かに、パルマが本物の我が子だ。
だがルーナに、パルマ以上に依存した結果、パルマ以上の愛がルーナに向いているんだ。
パルマには、父親としての愛。
ルーナには、父親としての愛と、一人の男としての愛。
………この気持ちは、パルマへの裏切りだろうか?
パルマを傷つけてしまうだろうか?
たった一人の父親が、本物の我が子ではなく偽物を選び、本物よりも愛するんだ。
………裏切りでしかないな。
だが、私の心は、あんなにルーナにパルマを重ねていたくせに、パルマよりもルーナを愛している。
………もう私は、パルマの父親失格だな。
「私は、ルーナを愛しているよ。パルマよりも、ルーナを愛している。パルマよりも、ルーナが私には必要だよ」
「!!………でも、パルマはパパの本物の我が子なのに」
「だけど今の私は、もうルーナじゃないとダメなんだ。もう、パルマの父親失格なんだ」
「そんなことないよ」
「そんなことあるんだよ」
私は、ポロポロと涙を流し泣き出したルーナの顔をこちらに向かせ、その唇を私の唇で塞いだ。
「んっ!」
軽く交わした口付けだが、ルーナの涙も震えも止まったようだ。
パルマ、すまない。
こんな最低な裏切り者の父親ですまない。
もう私は、パルマの死を受け入れよう。
受け入れた上で、ルーナを愛そう。
パルマの身代わりではなく、ルーナとして………。
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