我が子と間違われて拐われた孤児と、病んでる公爵

20◆パルマ視点

パパは知らない。

パパは気付かない。

だって、今の僕は幽霊だから………パパにはみえないの。

僕は天国に行けなかった。

パパが、僕の死を受け入れられなくて、悲しみ続けるから、僕はパパが心配で天国に行けなかったの。

ずっと側にいるんだよ。

あの日から、ずっとだよ。

だけど、触れないし………声もパパには届かないの。

パパは、僕の死ぬ夢を何度もみているんだ。

何も出来ない無力な僕は、必死にパパに呼び掛けることしかできないの。

ねぇ、パパ。

僕の声に気付いてよ。

僕は、ここにいるよ。

大好きだよって伝えたいの。

また、パパの笑顔がみたいよって伝えたいの。

僕もパパを愛しているよって伝えたいの。

………ねぇ、パパ。

お願いだから、幸せになってよ。

ルーナ君を僕の身代わりにするのは止めてよ。

ルーナ君はルーナ君なんだよ。

ルーナ君を、ルーナ君として大事にしてあげてよ。

………ルーナ君が、可哀想だよ。

ねぇ、パパ。

悲しむなとは言わないから、僕の死を受け入れてよ。

そして、ルーナ君と一緒に幸せになってよ。

僕の身代わりにしても、誰も報われないの。

怖い一歩を踏み出せば、後は幸せになるだけなの。

怖い一歩は、僕が頑張って背中を押すよ。

だから、パパ………。

僕の声に気付いてよ。