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5◆アズエル視点
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学園にて、僕はセスをみないようにしようとした。
天使だった時は唯一無二の伴侶で、日本の人間だった時は方想いの相手だったセス。
天使としての記憶が無くても、好きだったセス。
………だけど、僕のせいで………本当は両想いだったのに、セスに僕を殺させてしまった。
僕は愚かだったんだ。
きっと、セスと愛し合えない世界に転生したのは、そんな僕への罰なんだと僕は思う。
教室に入ろうとしたら、背後からいきなり抱き締められてびっくりした。
「私の愛しいアズエル。おはようございます!」
その人物は、セスだった。
え!?
僕は、夢でもみているんだろうか?
僕の愛するセスが、僕を愛しそうにみつめて背後から抱き締めるなんて………!!
僕の名前を呼ぶ声が、甘くて優しい響きで僕の心を締め付ける。
どうして………?
ただのモブに、どうして急にこんなことをするの?
辛くなるのに、嬉しくて涙が出てしまった。
「アズエル、私の愛しい唯一無二。もう誰にも奪わせません。私だけの愛するアズエル」
その言葉は、セスが天使だった時の記憶があるからなのかと期待してしまう。
でも、もし違っていたら………。
不安なのに、確かめないと気が気じゃなくて僕は聞くことにした。
「あの、変なこと聞いてもいいですか?………前世の記憶って、ありますか?」
「ふふ、敬語なんてやめてください。他人行儀で嫌ですよ。素でいてくださいね。前世の記憶はありますよ」
セスは、付け加えるようにこう言った。
天使の記憶と、日本の人間の記憶だと。
僕は、これは奇跡なのかと驚いた。
「アズエルは?」
「僕も……僕もあるよ。僕の愛しい唯一無二の伴侶セス。そして、僕の過ちのせいで僕を殺させてしまったことも………覚えているよ。セス、ごめんなさい……ごめんなさい………!」
両手で顔を覆い、本格的に泣き出した僕をぎゅっと抱き締めるセスのぬくもりが、とても懐かしく思える。
天使だった時は、このぬくもりが当たり前の日々だった。
「もう浮気はしないでくださいね。アズエルは私だけのアズエルなんですから」
「うん………。ねぇ、リズエルのことは………どう思っているの?」
ヒロインであるリズエルを、今のセスがどう思っているのかが気になった。
答えは………。
「あの害悪の話なんてやめてくださいね。アズエルへの愛しい気持ちが、リズエルへの殺意に邪魔されてしまいますから」
とりあえず、セスの気持ちはわかったからある意味安心した。
天使だった時は唯一無二の伴侶で、日本の人間だった時は方想いの相手だったセス。
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………だけど、僕のせいで………本当は両想いだったのに、セスに僕を殺させてしまった。
僕は愚かだったんだ。
きっと、セスと愛し合えない世界に転生したのは、そんな僕への罰なんだと僕は思う。
教室に入ろうとしたら、背後からいきなり抱き締められてびっくりした。
「私の愛しいアズエル。おはようございます!」
その人物は、セスだった。
え!?
僕は、夢でもみているんだろうか?
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僕の名前を呼ぶ声が、甘くて優しい響きで僕の心を締め付ける。
どうして………?
ただのモブに、どうして急にこんなことをするの?
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「アズエル、私の愛しい唯一無二。もう誰にも奪わせません。私だけの愛するアズエル」
その言葉は、セスが天使だった時の記憶があるからなのかと期待してしまう。
でも、もし違っていたら………。
不安なのに、確かめないと気が気じゃなくて僕は聞くことにした。
「あの、変なこと聞いてもいいですか?………前世の記憶って、ありますか?」
「ふふ、敬語なんてやめてください。他人行儀で嫌ですよ。素でいてくださいね。前世の記憶はありますよ」
セスは、付け加えるようにこう言った。
天使の記憶と、日本の人間の記憶だと。
僕は、これは奇跡なのかと驚いた。
「アズエルは?」
「僕も……僕もあるよ。僕の愛しい唯一無二の伴侶セス。そして、僕の過ちのせいで僕を殺させてしまったことも………覚えているよ。セス、ごめんなさい……ごめんなさい………!」
両手で顔を覆い、本格的に泣き出した僕をぎゅっと抱き締めるセスのぬくもりが、とても懐かしく思える。
天使だった時は、このぬくもりが当たり前の日々だった。
「もう浮気はしないでくださいね。アズエルは私だけのアズエルなんですから」
「うん………。ねぇ、リズエルのことは………どう思っているの?」
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答えは………。
「あの害悪の話なんてやめてくださいね。アズエルへの愛しい気持ちが、リズエルへの殺意に邪魔されてしまいますから」
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