1 / 6
1◆ユウタ視点
しおりを挟む
異世界に、行ってみたいと若い頃は思っていた。
俺は月城優太だ。
今年で31歳のれっきとしたおっさんだな。
普通の会社員をしている。
皆とちょっとだけ違うのが、身長がかなり低いことと童顔なこと。
そのせいで、よく中学生と間違えられる。
………酷いときは小学生だな。
あだ名は『合法ショタ』だ。
スーツは特注品で、私服は子供服。
皆は優しいから、人にも環境にも恵まれているとは思っている。
でも………メンタルはちょっと辛い。
俺……大人だもん。
31歳だもん。
そんな俺が、何故か異世界に召喚された。
「おお神子様!貴方様の降臨を心より歓迎いたします!」
知らない美人な男が部屋に一人だけいる。
部屋……といってもいいのかわからない、何もない空間で、あるのは扉が一つだけ。
………殺風景だな。
「俺は、何故ここに?」
当たり前の疑問だと思う。
「貴方様は、神子様としてこの世界[ラーシュミア]に神子召喚で召喚され、降臨された神子様です」
男は、神官長のイーリアス・フェリクスという名前だと名乗った。
18歳らしい。
神子とは、世界に平和をもたらすために神に祈りを捧げる存在だと説明された。
前の神子が亡くなると、次の神子を召喚する。
生きているけど、何らかの理由で祈りを捧げることができなくなったら、神子が選んだ代理が代わりに祈りを捧げる。
俺は、前の神子が寿命で亡くなり召喚されたらしい。
「………悲しくはないのか?」
神子は、皆に愛される存在らしい。
愛されていたなら、悲しくてたまらないんじゃないのか?
次の神子が必要でも、それで心は辛くはないのか?
俺は、この世界の人じゃないから、聞かないとわからない。
「アウラ様が亡くなり、皆悲しくて辛くてたまらないですよ。でも、だからこそ次の神子様がすぐに必要なのです。この世界は、悲しみや怒り、恨みや妬み、不安や殺意……マイナスの感情は魔物を生みます。世界が悲しみに涙を流し続ければ、それだけ魔物が生まれます。少しならすぐに倒せますが、大量に…それも強力な魔物が生まれたならば世界は恐怖に染まり、余計に魔物が生まれます。平和のためには、神子様が必要なのです」
前の神子の名前は、アウラ・ミクリアというらしい。
97歳だったそうだ。
イーリアスの表情は、微笑んでいるけど………悲しいのを堪えているからか瞳が潤ってみえる。
涙を堪えているんだ。
「泣いたらダメなのか?」
「いいえ、泣いてもいいのです。無理は良くないですからね。神子様がいなければ、無理に我慢しないといけませんでした。神子様がいるから、我慢せずに泣くことができます」
神子が祈りを捧げることが、皆の心を癒し世界の平和を守る。
最初は皆の悲しみを癒すことからで、それはどの神子も経験することらしい。
「イーリアスさんは泣かないのか?」
「イーリアスでいいですよ。ここでですか?………いいんですか?」
俺は、イーリアスを抱きしめて頭を撫でた。
身長が低い俺のために、ずっと座って話していたイーリアスは少し驚いていたけど………すぐに俺にしがみついて泣き出した。
イーリアスが満足するまで、泣かせてやろう。
その後で、神子として祈りを捧げるから今は父親にでもなった気分でイーリアスの頭と背中を撫で続けた。
俺は月城優太だ。
今年で31歳のれっきとしたおっさんだな。
普通の会社員をしている。
皆とちょっとだけ違うのが、身長がかなり低いことと童顔なこと。
そのせいで、よく中学生と間違えられる。
………酷いときは小学生だな。
あだ名は『合法ショタ』だ。
スーツは特注品で、私服は子供服。
皆は優しいから、人にも環境にも恵まれているとは思っている。
でも………メンタルはちょっと辛い。
俺……大人だもん。
31歳だもん。
そんな俺が、何故か異世界に召喚された。
「おお神子様!貴方様の降臨を心より歓迎いたします!」
知らない美人な男が部屋に一人だけいる。
部屋……といってもいいのかわからない、何もない空間で、あるのは扉が一つだけ。
………殺風景だな。
「俺は、何故ここに?」
当たり前の疑問だと思う。
「貴方様は、神子様としてこの世界[ラーシュミア]に神子召喚で召喚され、降臨された神子様です」
男は、神官長のイーリアス・フェリクスという名前だと名乗った。
18歳らしい。
神子とは、世界に平和をもたらすために神に祈りを捧げる存在だと説明された。
前の神子が亡くなると、次の神子を召喚する。
生きているけど、何らかの理由で祈りを捧げることができなくなったら、神子が選んだ代理が代わりに祈りを捧げる。
俺は、前の神子が寿命で亡くなり召喚されたらしい。
「………悲しくはないのか?」
神子は、皆に愛される存在らしい。
愛されていたなら、悲しくてたまらないんじゃないのか?
次の神子が必要でも、それで心は辛くはないのか?
俺は、この世界の人じゃないから、聞かないとわからない。
「アウラ様が亡くなり、皆悲しくて辛くてたまらないですよ。でも、だからこそ次の神子様がすぐに必要なのです。この世界は、悲しみや怒り、恨みや妬み、不安や殺意……マイナスの感情は魔物を生みます。世界が悲しみに涙を流し続ければ、それだけ魔物が生まれます。少しならすぐに倒せますが、大量に…それも強力な魔物が生まれたならば世界は恐怖に染まり、余計に魔物が生まれます。平和のためには、神子様が必要なのです」
前の神子の名前は、アウラ・ミクリアというらしい。
97歳だったそうだ。
イーリアスの表情は、微笑んでいるけど………悲しいのを堪えているからか瞳が潤ってみえる。
涙を堪えているんだ。
「泣いたらダメなのか?」
「いいえ、泣いてもいいのです。無理は良くないですからね。神子様がいなければ、無理に我慢しないといけませんでした。神子様がいるから、我慢せずに泣くことができます」
神子が祈りを捧げることが、皆の心を癒し世界の平和を守る。
最初は皆の悲しみを癒すことからで、それはどの神子も経験することらしい。
「イーリアスさんは泣かないのか?」
「イーリアスでいいですよ。ここでですか?………いいんですか?」
俺は、イーリアスを抱きしめて頭を撫でた。
身長が低い俺のために、ずっと座って話していたイーリアスは少し驚いていたけど………すぐに俺にしがみついて泣き出した。
イーリアスが満足するまで、泣かせてやろう。
その後で、神子として祈りを捧げるから今は父親にでもなった気分でイーリアスの頭と背中を撫で続けた。
1
お気に入りに追加
26
あなたにおすすめの小説
![](https://www.alphapolis.co.jp/v2/img/books/no_image/novel/bl.png?id=5317a656ee4aa7159975)
![](https://www.alphapolis.co.jp/v2/img/books/no_image/novel/bl.png?id=5317a656ee4aa7159975)
![](https://www.alphapolis.co.jp/v2/img/books/no_image/novel/bl.png?id=5317a656ee4aa7159975)
![](https://www.alphapolis.co.jp/v2/img/books/no_image/novel/bl.png?id=5317a656ee4aa7159975)
邪悪な魔術師の成れの果て
きりか
BL
邪悪な魔術師を倒し、歓喜に打ち震える人々のなか、サシャの足元には戦地に似つかわしくない赤子が…。その赤子は、倒したハズの魔術師と同じ瞳。邪悪な魔術師(攻)と、育ての親となったサシャ(受)のお話。
すみません!エチシーンが苦手で逃げてしまいました。
それでもよかったら、お暇つぶしに読んでくださいませ。
![](https://www.alphapolis.co.jp/v2/img/books/no_image/novel/bl.png?id=5317a656ee4aa7159975)
異世界帰りの男は知っていた、何事も力で解決した方が手っ取り早い~容赦しない事を覚えて来た男の蹂躙伝~
こまの ととと
BL
かつて異世界に飛ばされた男は、無敵の能力を身に着けて帰還する。
久しぶりに帰って来た現代日本で再び始まる学生生活。しかし、形は違えどロクデナシというものはそこら中に転がっている現状を確認。
平穏な学生生活を送る為、トラブルを一捻りにしながら己の道を突き進むのであった。
……美人に囲まれる物語でもある。果たして新しい愛の形は発生するのか?
![](https://www.alphapolis.co.jp/v2/img/books/no_image/novel/bl.png?id=5317a656ee4aa7159975)
![](https://www.alphapolis.co.jp/v2/img/books/no_image/novel/bl.png?id=5317a656ee4aa7159975)
![](https://www.alphapolis.co.jp/v2/img/books/no_image/novel/bl.png?id=5317a656ee4aa7159975)
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる