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あるところに、ラビたんという男の子がいました。
ラビたんには、どんな人かはわからないけれど、兄がいるのだと両親からは聞いていました。
しかし、『兄がいた』ということ以外誰も何も話してくれないのです。
「お兄ちゃんはどんな人なんだろう?会ってみたいな」
ラビたんは、いつも兄の事を想像して、会いたいという気持ちをいつもいつも胸に抱いていました。
そんなある日のことです。
ラビたんは、行ってはいけないと言われていた森の奥深くへと、興味本位で一人で行ってしまったのです。
森の奥深くは、危険だから行ってはいけない。
そこにはとても凶暴な生き物がいる。
そう言われていたはずなのに、好奇心から皆の言いつけを破ったのです。
ラビたんは、迷子になって、帰りたくても帰れなくなってしまいました。
悲しくて泣いても、帰れないのです。
暗い森の中で、夜になっても帰れないのです。
「うあぁーーーん!ごめんなさい!ごめんなさい!」
暗い森の中に、ラビたんの泣き声だけがただ虚しく響くのです。
ラビたんの泣き声に呼び寄せられ、獣の声がラビたんに迫ります。
ラビたんは、ここで死んでしまうのかと恐怖でより一層泣いてしまいました。
「怖いよ!怖いよ!死にたくない!助けて!お母さん……お父さん………お兄ちゃん!!」
ラビたんの頭を、何かが優しく撫でました。
それは知らない男の人の手でした。
「泣くな。泣いていたら獣が呼び寄せられる。死にたくないなら泣くな」
「!?」
そこにいつの間にいたのでしょうか?
その姿は、ラビたんが見たことのない姿でした。
「だぁれ?」
「オレはオレだ。助かりたいなら、静かにしろ」
「助けてくれるの?」
「獣が嫌がる水を撒く。だから、泣くんじゃない。わかったな?」
「うん!」
ラビたんは、颯爽と現れて泣いているラビたんを助けてくれたお兄さんのことが、とてもかっこよく見えました。
気がつけば、獣の声は聞こえなくて辺りはとても静かです。
「お前、名は?」
「ラビたん」
「何故こんな森の奥深くに、こんな時間にいるんだ」
「………本当は、来てはいけないと言われていたの。だけど、来ちゃったんだ。それで、帰れなくなっちゃった。帰りたいのに、帰れなくて……こんな時間になっちゃった」
ラビたんは、悲しくて涙が溢れてきました。
泣いてはいけないと言われたばかりなのに、もう涙が流れています。
「………アメ、やる。食べろ」
「………いいの?」
「いらないなら捨てろ」
「ありがとう。食べる」
お兄さんがくれた飴は、とっても美味しい苺味。
甘くて、悲しいのを忘れる程美味しい優しい味でした。
ラビたんには、どんな人かはわからないけれど、兄がいるのだと両親からは聞いていました。
しかし、『兄がいた』ということ以外誰も何も話してくれないのです。
「お兄ちゃんはどんな人なんだろう?会ってみたいな」
ラビたんは、いつも兄の事を想像して、会いたいという気持ちをいつもいつも胸に抱いていました。
そんなある日のことです。
ラビたんは、行ってはいけないと言われていた森の奥深くへと、興味本位で一人で行ってしまったのです。
森の奥深くは、危険だから行ってはいけない。
そこにはとても凶暴な生き物がいる。
そう言われていたはずなのに、好奇心から皆の言いつけを破ったのです。
ラビたんは、迷子になって、帰りたくても帰れなくなってしまいました。
悲しくて泣いても、帰れないのです。
暗い森の中で、夜になっても帰れないのです。
「うあぁーーーん!ごめんなさい!ごめんなさい!」
暗い森の中に、ラビたんの泣き声だけがただ虚しく響くのです。
ラビたんの泣き声に呼び寄せられ、獣の声がラビたんに迫ります。
ラビたんは、ここで死んでしまうのかと恐怖でより一層泣いてしまいました。
「怖いよ!怖いよ!死にたくない!助けて!お母さん……お父さん………お兄ちゃん!!」
ラビたんの頭を、何かが優しく撫でました。
それは知らない男の人の手でした。
「泣くな。泣いていたら獣が呼び寄せられる。死にたくないなら泣くな」
「!?」
そこにいつの間にいたのでしょうか?
その姿は、ラビたんが見たことのない姿でした。
「だぁれ?」
「オレはオレだ。助かりたいなら、静かにしろ」
「助けてくれるの?」
「獣が嫌がる水を撒く。だから、泣くんじゃない。わかったな?」
「うん!」
ラビたんは、颯爽と現れて泣いているラビたんを助けてくれたお兄さんのことが、とてもかっこよく見えました。
気がつけば、獣の声は聞こえなくて辺りはとても静かです。
「お前、名は?」
「ラビたん」
「何故こんな森の奥深くに、こんな時間にいるんだ」
「………本当は、来てはいけないと言われていたの。だけど、来ちゃったんだ。それで、帰れなくなっちゃった。帰りたいのに、帰れなくて……こんな時間になっちゃった」
ラビたんは、悲しくて涙が溢れてきました。
泣いてはいけないと言われたばかりなのに、もう涙が流れています。
「………アメ、やる。食べろ」
「………いいの?」
「いらないなら捨てろ」
「ありがとう。食べる」
お兄さんがくれた飴は、とっても美味しい苺味。
甘くて、悲しいのを忘れる程美味しい優しい味でした。
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