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ある日、城から舞踏会の招待状が届いた。

城には王子様が三人いて、第二王子の婚約者を決めるための舞踏会らしい。

招待状が届いたからといって強制ではないが、本来ならこの舞踏会を休むような令嬢なんていないのが現実だ。

何故なら、王子様に見初められれば玉の輿になれる。

王太子は第一王子アールグレイだから王妃にはなれないが、王子妃にならなれる。

それは、令嬢達からすれば夢のような話である。

ちなみに、アールグレイはまだ婚約していない。



シンデレラ達は、招待状について話し合った。

実はその舞踏会の日は、同人誌即売会が行われる日なのだ。

ちなみに舞踏会は夜であるが、同人誌即売会は早朝から深夜までかかるのだ。

とても、舞踏会に行っている暇など欠片もない。

そして、完全に腐りきっているシンデレラ達は舞踏会なんかよりも同人誌即売会に行くことを目的として行動することにしている。

だからこそ、舞踏会に行くことはない。

「お断りの返事を出しておきましょう」

継母の言葉に家族全員で頷いた。



当日。

継母と二人の姉は、シンデレラのことを妨害しようと思いシンデレラをあえて置いてけぼりにした。

仲は悪くとも、何気にシンデレラの作品がとても素晴らしいものだと理解している三人。

だからこそライバルを蹴落すのだ。

自分達の作品に自信を持っているからこそ、ライバルを蹴落として自分達が一番を勝ち取ろうと思っているんだ。

父は可哀想だろうと言ったのだが、聞いてもらえなかった。

3対1では勝てなかった。

父はシンデレラを可哀想と思っているけれど、情けなくもどうすることもできなかった。

だから父は、シンデレラを自分は助けてやれないけれど、助けてくれる助っ人を内緒で用意してから三人と一緒に会場に向かった。



「大変だわ!寝坊してしまった!皆もう行ってしまったじゃない!?もう時間は間に合わないわ……どうしましょう………!」

昨夜、寝る前に睡眠薬を軽く盛られていたシンデレラは、朝寝坊をしてしまった。

だが、眠りが深かっただけなので薬を盛られたという自覚はない。

今からでは良い場所がきっと取れない!

シンデレラはどうしましょうと準備を急ぐも、きっと間に合わないと絶望していた。

そこに救世主が現れる!

「シンデレラ。俺がシンデレラを会場まで連れて行ってやるよ。安心しろ。俺は魔術が得意なんだ。会場まで一発で転移させてやるよ」

「貴方は?」

「シンデレラの父親の依頼でやってきた 魔術師だ」

「お父様が?」

「他の三人には内緒だって言っていたから、シンデレラも内緒にした方がいいぜ」

突然現れた黒いローブを身に纏う男は、そう言ってシンデレラに笑顔を向けた。

父はシンデレラが遅刻しないように、三人には内緒で魔術師に依頼していたのだ。



こうしてシンデレラは、無事に遅刻せずに会場に向かうことができた。

そして、ちゃんとそこそこ良い場所を手に入れることができたのだ。

その姿を見ていた継母と二人の姉は、悔しそうな顔をしていた。

ちなみに三人は、いい場所を取っていた。

そして父は、無事にやって来れたシンデレラを見て、ホッと胸を撫で下ろすのだった。
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