呪いの聖剣と子猫

ミクリ21

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闇落ちした聖剣

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昔々あるところに、呪いの聖剣がありました。

聖剣は、現役時代は素敵な勇者と一緒にバリバリと活躍したものです。

しかし、勇者は役目を終えると聖剣を売ったのです。

勇者が使っていた聖剣で、更に言えば魔王を倒したプレミア品です。

国が丸々買える程の大金で売れました。

信頼していた勇者に売られてしまった聖剣はその後、幾多もの人に適当に扱われました。

ある時は、包丁の代わりに料理に使われました。

ある時は、斧の代わりに木の伐採に使われました。

ある時は、子供のオモチャ代わりにハチャメチャに使われました。

………そして聖剣は、ついには闇堕ちしてしまいました。

闇落ちした聖剣は、いつしか呪いの聖剣と呼ばれるようになりました。



ある日のこと、聖剣に子猫が何故かなつきました。

困惑してしまう聖剣。

子猫はのんびり自由気ままに、アクビをして丸くなります。

「なぁ、子猫よ。俺の所よりも良い所は、いっぱいあるぞ」

「聖剣さん。私が良い所と思う所に、私はいるの。私が良い所を決めるのよ」

意外に押しの強い子猫です。

聖剣は更に困惑しました。



月日は流れ、ずっと一緒にいる聖剣と子猫。

子猫の身に危険が迫ると、聖剣がエイヤソイヤと守ります。

子猫がお腹を空かせると、食料や飲料を手に入れます。

気付けば、聖剣はすっかり子猫の保護者になっていました。



子猫はずっと聖剣の所で育ち、美しい大人の猫になりました。

「ねぇ、聖剣さん。私と結婚しましょう」

「だが、俺は剣で猫じゃない」

「あら、それがどうしたと言うのかしら?」

猫の逆プロポーズに聖剣は悩みましたが、聖剣は猫の逆プロポーズを受けることにしました。



こうして、猫と聖剣は結婚して末永く仲良く暮らしましたとさ。



めでたしめでたし!

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