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終わり良ければすべて良し?
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「マリアンヌ!貴様を婚約破棄して、僕はアイザックを婚約者にする!」
その日、城では王族主催の夜会が開かれていました。
その夜会でマリアンヌは、婚約者のマイケルから婚約破棄をされたのです。
突然のことに、大半の人は驚いています。
しかし、それ以外に喜んでいる人と残念がっている人たちもいます。
そして、喜んでいる人の内に国王と王妃は入っています。
「婚約破棄を認めよう。マリアンヌよ、後で例の物を渡そう」
「はい。陛下、ありがとうございます!」
「例の物?」
例の物がわからないマイケルは、不思議そうにしています。
まぁ、マイケルはわからなくて当然なのです。
この婚約破棄に喜んでいる内に入っているのは、実はマリアンヌもなのです。
その理由は………。
「マイケル殿下、貴方のおかげで私は、ずっと前から欲しかった幻の聖典を手に入れます。最高に嬉しいですわ!ありがとうございました!」
「幻の聖典?」
例の物の名前を聞いても、マイケルはやっぱりわかりませんでした。
「マイケルよ、お前に言わねばならんことがある。心して聞くのだ」
「?……はい、父上」
国王と王妃は、とてもニコニコしていて、今から何かしらの素晴らしいことでも言いそうな雰囲気でした。
しかし。
「私と妻は、離婚することになった」
「!?」
それは、マイケルにとって本当に突然の話だったので、驚きすぎてマイケルは腰を抜かしてしまいました。
「実はな、マイケルで賭け事をしていたのだ。マイケルが婚約破棄をしたら私たちは離婚で、婚約破棄をしなかったら離婚はせずに側室を迎えるとな」
国王にジーク公爵が近寄り、国王の腰に腕を回して抱き寄せます。
「マイケル殿下、私は陛下を……シャールを愛しています。これは王妃様も公認のことで、離婚を悩んだ王妃様は、マイケル殿下の行動で決める賭け事を始めたのです」
そう、この婚約破棄は賭け事の対象だったのです。
『婚約破棄をする』に賭けていた国王と王妃とジーク公爵とマリアンヌは、嬉しくて堪りません。
『婚約破棄をしない』に賭けていた人たちは、それはもう残念がっています。
ちなみに、マリアンヌの言う『幻の聖典』とは、もう売られていない幻とも言える、マリアンヌのもっとも推している人のBL本のことです。
王妃は、国王を愛してはいますが、森でスローライフがしたいので離婚したかったのです。
国王とジーク公爵は、堂々と愛し合いたかったのです。
そして、その他の人たちは賭け事に便乗しただけです。
マイケルは何も知りませんでした。
アイザックは、そんなマイケルを慰めます。
「マイケル様、ずっと私が一緒にいますよ」
「君は……知っていたのか?」
「さぁ?」
ふふ…っと笑うアイザックを、マイケルは不安に思ってしまいました。
「さて、マイケル。お前はアイザックの自宅の婿養子になってもらう」
マイケルは、元々王太子ではないし、兄弟なら5人もいるから、アイザックの家の婿養子になっても何も困らないのです。
マイケルは、愛しているアイザックと婚約できるのに嬉しく思えませんでした。
「マイケル様、貴方は私のモノですよ。逃がす気はありませんからね」
マイケルの耳元で、アイザックが妖しく囁きます。
この婚約破棄で、ショックを受けたのは、賭け事に負けた人を除けばマイケルだけでした。
(まるで………僕は生け贄みたいだ)
あれから数ヶ月が過ぎました。
国王とジーク公爵は正式に結婚しました。
王妃だったサラは、森でのんびりスローライフをエンジョイしています。
マリアンヌは、新しい婚約者とBLに夢中です。
そして、マイケルとアイザックは仲睦まじく暮らしています。
あれから、アイザックがたっぷりマイケルを慰めたので、二人の愛は失ってはいません。
アイザックのマイケルへの溺愛に、多少周りの人たちは胸焼けが辛いそうです。
皆が幸せなので、終わり良ければすべて良しというやつです。
その日、城では王族主催の夜会が開かれていました。
その夜会でマリアンヌは、婚約者のマイケルから婚約破棄をされたのです。
突然のことに、大半の人は驚いています。
しかし、それ以外に喜んでいる人と残念がっている人たちもいます。
そして、喜んでいる人の内に国王と王妃は入っています。
「婚約破棄を認めよう。マリアンヌよ、後で例の物を渡そう」
「はい。陛下、ありがとうございます!」
「例の物?」
例の物がわからないマイケルは、不思議そうにしています。
まぁ、マイケルはわからなくて当然なのです。
この婚約破棄に喜んでいる内に入っているのは、実はマリアンヌもなのです。
その理由は………。
「マイケル殿下、貴方のおかげで私は、ずっと前から欲しかった幻の聖典を手に入れます。最高に嬉しいですわ!ありがとうございました!」
「幻の聖典?」
例の物の名前を聞いても、マイケルはやっぱりわかりませんでした。
「マイケルよ、お前に言わねばならんことがある。心して聞くのだ」
「?……はい、父上」
国王と王妃は、とてもニコニコしていて、今から何かしらの素晴らしいことでも言いそうな雰囲気でした。
しかし。
「私と妻は、離婚することになった」
「!?」
それは、マイケルにとって本当に突然の話だったので、驚きすぎてマイケルは腰を抜かしてしまいました。
「実はな、マイケルで賭け事をしていたのだ。マイケルが婚約破棄をしたら私たちは離婚で、婚約破棄をしなかったら離婚はせずに側室を迎えるとな」
国王にジーク公爵が近寄り、国王の腰に腕を回して抱き寄せます。
「マイケル殿下、私は陛下を……シャールを愛しています。これは王妃様も公認のことで、離婚を悩んだ王妃様は、マイケル殿下の行動で決める賭け事を始めたのです」
そう、この婚約破棄は賭け事の対象だったのです。
『婚約破棄をする』に賭けていた国王と王妃とジーク公爵とマリアンヌは、嬉しくて堪りません。
『婚約破棄をしない』に賭けていた人たちは、それはもう残念がっています。
ちなみに、マリアンヌの言う『幻の聖典』とは、もう売られていない幻とも言える、マリアンヌのもっとも推している人のBL本のことです。
王妃は、国王を愛してはいますが、森でスローライフがしたいので離婚したかったのです。
国王とジーク公爵は、堂々と愛し合いたかったのです。
そして、その他の人たちは賭け事に便乗しただけです。
マイケルは何も知りませんでした。
アイザックは、そんなマイケルを慰めます。
「マイケル様、ずっと私が一緒にいますよ」
「君は……知っていたのか?」
「さぁ?」
ふふ…っと笑うアイザックを、マイケルは不安に思ってしまいました。
「さて、マイケル。お前はアイザックの自宅の婿養子になってもらう」
マイケルは、元々王太子ではないし、兄弟なら5人もいるから、アイザックの家の婿養子になっても何も困らないのです。
マイケルは、愛しているアイザックと婚約できるのに嬉しく思えませんでした。
「マイケル様、貴方は私のモノですよ。逃がす気はありませんからね」
マイケルの耳元で、アイザックが妖しく囁きます。
この婚約破棄で、ショックを受けたのは、賭け事に負けた人を除けばマイケルだけでした。
(まるで………僕は生け贄みたいだ)
あれから数ヶ月が過ぎました。
国王とジーク公爵は正式に結婚しました。
王妃だったサラは、森でのんびりスローライフをエンジョイしています。
マリアンヌは、新しい婚約者とBLに夢中です。
そして、マイケルとアイザックは仲睦まじく暮らしています。
あれから、アイザックがたっぷりマイケルを慰めたので、二人の愛は失ってはいません。
アイザックのマイケルへの溺愛に、多少周りの人たちは胸焼けが辛いそうです。
皆が幸せなので、終わり良ければすべて良しというやつです。
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