新婚王太子のヤンデレ生活

ミクリ21

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24◆シャンディア視点

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それは、突然のことだった。

ラグナーが……あの体力が限りなくないラグナーが……全力疾走してきて……いきなり……ラリアットを俺にかました。

………一瞬、キレイな花畑で…亡くなった昔の親戚のお兄さんが手を振っていた………。

「…………ハッ!?」

すぐに現実に意識は戻ったが、ラグナーが馬乗りで俺の腰の上にいた。

……ここ、騎士団の訓練場だから周りに人がいっぱいいるんだが………。

「ラグナー?」

………身体、鍛えといて良かった。

さっきのラリアットのダメージがまだ痛い。

ラグナーの攻撃力の高さにビックリした。

「ディア、俺のディア!」

…………?

ちょっと待て。
お前いつから愛称呼びになったんだ。
嬉しいじゃないか!

あと、いつから一人称が俺になったんだ。
まぁ、似合うけどな。

「俺以外のディアになるなんて許さない!!ディアは俺のモノだ!ディアを好きになっていいのは俺だけだ!ディアが好きになっていいのは俺だけだ!」

「!?」

な、なんだこれは?

ま…まさか、愛の告白か?

いやしかし、ラグナーは恋愛対象は女性のはずだが………。

「俺以外のモノになるなら殺す!ディアを殺す!ディアを殺して俺も死ぬ!誰にもディアを奪わせない!」

「!?!?お、落ち着け、ラグナー!」

「許さない許さない許さない!!ディアは俺のだ!ディアは俺のなんだ!奪わせない!奪わせない!奪わせない!奪わせない!奪わせない!奪わせない!奪わせない!!!!!」

俺の声が聞こえていないのか、頭を抱えて苦しむラグナー。

どうしたんだ!

いったい何があったんだ!

俺は上半身を起こしてラグナーを抱きしめた。

「ラグナー、俺はラグナーのモノだ。ラグナー以外のモノにはならない。だから落ち着け、俺はラグナーから離れないから……」

背中を撫でながら、諭すように言い続けるとやっと落ち着いてきたみたいだ。

たが、今度は号泣しだした。

「うっ…うっ…ヤダ…ヤダよ……ディア、いかないで………」

「どこにも行かないぞ。なぁ、何があったんだ?」

「ひくっ…うっ…聞いた…んだ。ディア、実家から…ひくっ…お見合い……うっうっ…話があるって………」

………。

ロビン殿下たち、なんでラグナーに話すんだ。

俺がラグナーを愛しているの知ってるのに!

あとで問い詰めよう。

「俺はお見合いを断るつもりだ。だから泣くな」

泣くラグナーの頭を撫で、ハンカチで顔を拭く。

俺には貴公子のように指で涙を拭うのは似合わない。

「うっ…ひくっ…ディア、好き。ディアも…俺のこと好き…?ディア、婚約するなら…俺として……!ディアは俺のモノなの……」

「!!!!!!」

こ…これは実は夢なのか?

叶わない恋だと思っていたのに、叶うのか!?

………夢ならずっと覚めなくていい。

「俺は、ラグナーのことがずっと好きだった。その婚約、喜んでお受けします」

「うん……!絶対だよ!」

ラグナーは、嬉しそうに微笑んだ。

まるで、無邪気な子供のように可愛い笑顔だった。

その後、ラグナーはスヤスヤ眠りだした。





後日談。

意識の戻ったラグナーは、自分がしたこと言ったことを忘れていた。

しかし、あの現場の目撃者はかなり多いので、なかったことにはならない。

そして、ラグナーの熱烈な告白は俺の家族にも話がいったらしく、お見合いはなくなり、ラグナーと正式に婚約が決まった。

これからは、俺たちはお互いに愛称呼びにすることにしたのだった。
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