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19◆イリアの両親(番外編)
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最初に、この番外編は『ざまぁ』を目的とした内容です。
読まなくても、本編には影響はしません。
作者より
★★★★★★
ラファエルは、イリアをご主人様にすると決めた時から、イリアの両親を許してはいない。
金は充分に渡した。
ちゃんと借金返済に使えば、借金は無事になくなるだろう。
手切れ金もあるから、生活に困ることもないだろう。
………本来なら。
それは、イリアの両親がまともな人だったらの話だ。
残念ながら、イリアの両親はまともではない。
だから、ラファエルは思ったんだ。
もし、イリアの父親の目の前に娼婦をしている世界一の美女が現れたら………。
もし、イリアの母親の目の前に王族ですら飲めない最高級の酒があったら………。
そして、ちょうどお金も持っている今なら………。
あの二人なら、迷ったりせずに手を出すだろう。
借金返済はもうしばらく待ってもらえばいい。
あの二人はそう思うだろう。
ラファエルは、悪質だと悪い噂しか聞かない商人に情報を流した。
「あの女性は、今懐が潤っているから、どんな高い酒でも買うだろうな。王族の私ですら買えないあの酒でも、あっさり買ってしまうだろう」
ラファエルは、その商人の悪質だという噂の真相を調べているから知っていた。
その酒が、実は偽物であることも、本物よりも5倍の値段で客に売ることも。
その酒の値段に気づく客には売っていないことも。
そして、この商人のもっとも悪質なところは、他の商品もほとんどが偽物なのに値段が本物よりも3~10倍だったりするところだ。
物の価値がわかる人は、絶対にこの商人からは何も買わない。
商人と会話をするために、わざわざラファエルは買い物に行って小物を買った。
やはり偽物で、値段も4倍だった。
しかし、そのおかげで得るものもあった。
期待通りの結果になるように、ラファエルは密かに微笑んだ。
ある日、悪い噂しか聞かない、世界一の美女なんじゃないかと言いたくなるような娼婦に、ラファエルは偶然を装いカフェで相席した。
この娼婦のことも調べているから、ラファエルは噂の真相を知っていた。
この娼婦は、客に求める金額が良心的だから、様々な男が客になる。
だが、良心的なのは最初だけ。
次からは最初の20倍払わなくてはいけない。
そんなことを聞かされていない男たちは、前と同じ金額だと思ってやって来て、終わった後にその金額を要求される。
客は当然反論するが、娼婦を守る店の店員は「今払えないなら、貴方を奴隷として売ります」と言う。
この娼婦の店は、初見の客には同意書にサインをさせている。
その場でお金を払えない客は、奴隷として売りますという同意書を……。
被害者は、行方不明者という扱いになっている。
その娼婦に、ラファエルは情報を流した。
「あの男は、最近懐が潤っているらしい。よく娼婦館に行くらしいですよ」
コーヒーを一杯飲んで席を立つ。
ラファエルは、娼婦がイリアの父親を獲物として狙うことを期待した。
娼婦は、獲物にしようと思った男の前を素通りするだけで、その獲物の男があっさり釣れてしまう。
ちなみに、娼婦と商人の悪事の証拠は揃っているから、あとは捕まえるだけだった。
だから、利用した後で捕まえる準備を整えていた。
そして………。
ラファエルは、期待通りの結果を手に入れた。
イリアの父親は、娼婦の客になった。
二回目の来店で、奴隷として売られた。
イリアの母親は、商人から酒を買った。
借金返済のお金を、たった一本の酒(しかも偽物)に支払ってしまい借金返済ができなくなったらしい。
ラファエルは、その結果を読んだ後で娼婦と商人を捕まえた。
どちらも鉱山で死ぬまで労働の刑になった。
さて、イリアの母親の借金だが。
ラファエルは、借金返済を待っている人たちに人を使って噂を流した。
「あの女は、大金が手に入ったのにバカ高い酒の偽物にその大金使って、ずっとある借金は払うつもりがないんだ」
噂を聞いた人たちに問い詰められたイリアの母親は、最後は訴えられて捕まった。
お金がないから、鉱山で強制労働して、その給金全額が借金返済に消えている。
この話を、ラファエルはイリアに言わない。
だから、イリアは何も知らない。
読まなくても、本編には影響はしません。
作者より
★★★★★★
ラファエルは、イリアをご主人様にすると決めた時から、イリアの両親を許してはいない。
金は充分に渡した。
ちゃんと借金返済に使えば、借金は無事になくなるだろう。
手切れ金もあるから、生活に困ることもないだろう。
………本来なら。
それは、イリアの両親がまともな人だったらの話だ。
残念ながら、イリアの両親はまともではない。
だから、ラファエルは思ったんだ。
もし、イリアの父親の目の前に娼婦をしている世界一の美女が現れたら………。
もし、イリアの母親の目の前に王族ですら飲めない最高級の酒があったら………。
そして、ちょうどお金も持っている今なら………。
あの二人なら、迷ったりせずに手を出すだろう。
借金返済はもうしばらく待ってもらえばいい。
あの二人はそう思うだろう。
ラファエルは、悪質だと悪い噂しか聞かない商人に情報を流した。
「あの女性は、今懐が潤っているから、どんな高い酒でも買うだろうな。王族の私ですら買えないあの酒でも、あっさり買ってしまうだろう」
ラファエルは、その商人の悪質だという噂の真相を調べているから知っていた。
その酒が、実は偽物であることも、本物よりも5倍の値段で客に売ることも。
その酒の値段に気づく客には売っていないことも。
そして、この商人のもっとも悪質なところは、他の商品もほとんどが偽物なのに値段が本物よりも3~10倍だったりするところだ。
物の価値がわかる人は、絶対にこの商人からは何も買わない。
商人と会話をするために、わざわざラファエルは買い物に行って小物を買った。
やはり偽物で、値段も4倍だった。
しかし、そのおかげで得るものもあった。
期待通りの結果になるように、ラファエルは密かに微笑んだ。
ある日、悪い噂しか聞かない、世界一の美女なんじゃないかと言いたくなるような娼婦に、ラファエルは偶然を装いカフェで相席した。
この娼婦のことも調べているから、ラファエルは噂の真相を知っていた。
この娼婦は、客に求める金額が良心的だから、様々な男が客になる。
だが、良心的なのは最初だけ。
次からは最初の20倍払わなくてはいけない。
そんなことを聞かされていない男たちは、前と同じ金額だと思ってやって来て、終わった後にその金額を要求される。
客は当然反論するが、娼婦を守る店の店員は「今払えないなら、貴方を奴隷として売ります」と言う。
この娼婦の店は、初見の客には同意書にサインをさせている。
その場でお金を払えない客は、奴隷として売りますという同意書を……。
被害者は、行方不明者という扱いになっている。
その娼婦に、ラファエルは情報を流した。
「あの男は、最近懐が潤っているらしい。よく娼婦館に行くらしいですよ」
コーヒーを一杯飲んで席を立つ。
ラファエルは、娼婦がイリアの父親を獲物として狙うことを期待した。
娼婦は、獲物にしようと思った男の前を素通りするだけで、その獲物の男があっさり釣れてしまう。
ちなみに、娼婦と商人の悪事の証拠は揃っているから、あとは捕まえるだけだった。
だから、利用した後で捕まえる準備を整えていた。
そして………。
ラファエルは、期待通りの結果を手に入れた。
イリアの父親は、娼婦の客になった。
二回目の来店で、奴隷として売られた。
イリアの母親は、商人から酒を買った。
借金返済のお金を、たった一本の酒(しかも偽物)に支払ってしまい借金返済ができなくなったらしい。
ラファエルは、その結果を読んだ後で娼婦と商人を捕まえた。
どちらも鉱山で死ぬまで労働の刑になった。
さて、イリアの母親の借金だが。
ラファエルは、借金返済を待っている人たちに人を使って噂を流した。
「あの女は、大金が手に入ったのにバカ高い酒の偽物にその大金使って、ずっとある借金は払うつもりがないんだ」
噂を聞いた人たちに問い詰められたイリアの母親は、最後は訴えられて捕まった。
お金がないから、鉱山で強制労働して、その給金全額が借金返済に消えている。
この話を、ラファエルはイリアに言わない。
だから、イリアは何も知らない。
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