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6◆イリア視点
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僕は今、心臓が爆発しそうなほどバクバクいっている。
理由は、僕に腕枕して一緒に寝ているラファエル様の美貌が……あまりにも近いから意識してしまって………あぅ。
腕枕なんて、生まれて初めての経験だ。
今日一日で、どれだけの初めてを経験したり、味わったりしただろうか?
もしかしたら、僕はすでに死んでいて実は天国にいるのかもしれないって思うほど、今日は幸せだった。
両親はもう、僕とは赤の他人。
もう、僕はあんな毎日を過ごさなくて済むんだね。
僕は、ラファエル様の美しい寝顔をみつめたまま過去を振り返ってみた。
幼かった頃、最初から両親は自分たち中心だった。
ちゃんと食事はあったけど、成長に問題ないぐらいの最低限だった。
痩せ過ぎることはなかったけど、太ることもなかった。
おやつなんて、一度ももらったことがない。
お風呂は、元々湯船はなかった。
だから毎日シャワーが当たり前だった。
寝るときは薄い敷き布団で寝た。
両親は両親の部屋で一緒に寝ているけど、僕はいつも邪魔にならない廊下の隅っこだった。
両親は、僕に怪我をさせたくなかったから、寝惚けて踏んだら困るんだって。
まだ幼かった僕は、両親にちゃんと愛されていると思っていた。
たとえ、何を言われても両親の愛情を信じていた。
でも、ある日知った。
ある日の暴言の内容で、僕は愛されていなかったんだと知ってしまった。
『お前をなんでわざわざ産んだかわかるか?お前が女だったらいい金になると思って、苦労して赤ちゃんなんか産んだんだ。なのに!産まれてきたのが男だったから、あたしたちがどれだけガッカリしたかお前にわかるか?だが、産んだからにはどんな形でも金にするつもりだから、ちゃんと成長させて、毎日身綺麗にさせてるんだ。お前なんかのために金を使ってやっているんだ。ちゃんと言うことを聞け!』
僕は、母の言葉に涙が溢れた。
今までも暴言をたくさん言われたし、周りの人たちからも……僕は愛されていないとか、可哀想な子とか言われていた。
でも、信じていたかった。
………信じていたかったんだよ。
じゃないと、僕の心が耐えられなかったから。
もう、両親の愛情を信じることはできない。
毎日僕の心は、両親の暴言で傷ついていくのに………誰も助けてくれなかった。
両親の借金のために、学園に入学させられた時も僕の心は傷ついていた。
平気で僕を奴隷として売るなんて言える両親に、今までで一番傷ついた。
ラファエル様が、初めて僕を助けてくれた人だ。
僕はラファエル様のことが大好きになった。
最初、僕を買いたいなんて言うし、奴隷って言葉も否定はしてなかったから………真逆の意味とも言われたけど……。
そんなことを言うから、ちょっとだけ怖かった。
でも、貴族と友達になれそうになくて……誘惑も当然無理だったから、僕は思い詰めていた。
もう、奴隷になる未来は避けられないんだったら、ラファエル様の奴隷の方がまだマシだと思ったんだ。
それで、僕はラファエル様に買われた。
どんな目にあうのか不安だったけど、僕が経験したのは幸せばかりだった。
僕の不安や恐怖は、早々になくなったよ。
そして、僕はラファエル様のご主人様になることを強制された。
強制なのに、全然嫌じゃなかったよ。
ラファエル様のこと、僕は信じられるから。
「ラファエル様、好き」
寝ているラファエル様に、小声で好きと言ってから僕は照れてしまった。
「ふふ、私もイリアが好きだよ」
「!?」
………寝ていると思っていたら、バッチリ起きていたという落ちだった。
明日から、僕のご主人様生活が始まる。
理由は、僕に腕枕して一緒に寝ているラファエル様の美貌が……あまりにも近いから意識してしまって………あぅ。
腕枕なんて、生まれて初めての経験だ。
今日一日で、どれだけの初めてを経験したり、味わったりしただろうか?
もしかしたら、僕はすでに死んでいて実は天国にいるのかもしれないって思うほど、今日は幸せだった。
両親はもう、僕とは赤の他人。
もう、僕はあんな毎日を過ごさなくて済むんだね。
僕は、ラファエル様の美しい寝顔をみつめたまま過去を振り返ってみた。
幼かった頃、最初から両親は自分たち中心だった。
ちゃんと食事はあったけど、成長に問題ないぐらいの最低限だった。
痩せ過ぎることはなかったけど、太ることもなかった。
おやつなんて、一度ももらったことがない。
お風呂は、元々湯船はなかった。
だから毎日シャワーが当たり前だった。
寝るときは薄い敷き布団で寝た。
両親は両親の部屋で一緒に寝ているけど、僕はいつも邪魔にならない廊下の隅っこだった。
両親は、僕に怪我をさせたくなかったから、寝惚けて踏んだら困るんだって。
まだ幼かった僕は、両親にちゃんと愛されていると思っていた。
たとえ、何を言われても両親の愛情を信じていた。
でも、ある日知った。
ある日の暴言の内容で、僕は愛されていなかったんだと知ってしまった。
『お前をなんでわざわざ産んだかわかるか?お前が女だったらいい金になると思って、苦労して赤ちゃんなんか産んだんだ。なのに!産まれてきたのが男だったから、あたしたちがどれだけガッカリしたかお前にわかるか?だが、産んだからにはどんな形でも金にするつもりだから、ちゃんと成長させて、毎日身綺麗にさせてるんだ。お前なんかのために金を使ってやっているんだ。ちゃんと言うことを聞け!』
僕は、母の言葉に涙が溢れた。
今までも暴言をたくさん言われたし、周りの人たちからも……僕は愛されていないとか、可哀想な子とか言われていた。
でも、信じていたかった。
………信じていたかったんだよ。
じゃないと、僕の心が耐えられなかったから。
もう、両親の愛情を信じることはできない。
毎日僕の心は、両親の暴言で傷ついていくのに………誰も助けてくれなかった。
両親の借金のために、学園に入学させられた時も僕の心は傷ついていた。
平気で僕を奴隷として売るなんて言える両親に、今までで一番傷ついた。
ラファエル様が、初めて僕を助けてくれた人だ。
僕はラファエル様のことが大好きになった。
最初、僕を買いたいなんて言うし、奴隷って言葉も否定はしてなかったから………真逆の意味とも言われたけど……。
そんなことを言うから、ちょっとだけ怖かった。
でも、貴族と友達になれそうになくて……誘惑も当然無理だったから、僕は思い詰めていた。
もう、奴隷になる未来は避けられないんだったら、ラファエル様の奴隷の方がまだマシだと思ったんだ。
それで、僕はラファエル様に買われた。
どんな目にあうのか不安だったけど、僕が経験したのは幸せばかりだった。
僕の不安や恐怖は、早々になくなったよ。
そして、僕はラファエル様のご主人様になることを強制された。
強制なのに、全然嫌じゃなかったよ。
ラファエル様のこと、僕は信じられるから。
「ラファエル様、好き」
寝ているラファエル様に、小声で好きと言ってから僕は照れてしまった。
「ふふ、私もイリアが好きだよ」
「!?」
………寝ていると思っていたら、バッチリ起きていたという落ちだった。
明日から、僕のご主人様生活が始まる。
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