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2◆ラファエル視点
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学園で、平民のイリアの話は悪い意味で有名だ。
いつも暗い顔をしていて、誰かに話しかけてもいつも何かに怯えた瞳をしている。
貴族たちは警戒心が強くて、それぞれがイリアについて調べていたから、イリアの両親の目的を皆知っていた。
当然、私も調べていたから知っている。
私は、個人で店を経営しているから個人財産に余裕があった。
そして、私には願いがあった。
私は、思ったんだ。
…………使えると。
だから、イリアに話しかけた。
私の願いを叶えるために。
まずは、イリアの心と身体をリラックスさせるためにお菓子と紅茶を堪能させた。
おそらく、初めて口にしたのだろう。
イリアの育った環境では、お菓子も紅茶も口にする機会などなかったはずだ。
自分の欲望に忠実な両親が、イリアに優しくなかったのも調べてわかっている。
身体への虐待はなくても、精神への虐待はずいぶんと酷かったらしい。
イリアを手に入れた後に、すぐに医師に診せよう。
必要ならカウンセリングも考えている。
「イリア、突然なんだが……イリアを私に売ってほしいんだ」
イリアのお菓子を食べる手が止まった。
ああ、言い方を間違えてしまった。
イリアが私を怯えた瞳でみつめているから、私は優しく微笑んだ。
「イリアの両親の借金を、私に全額支払わせてほしい。そして、イリアの両親には手切れ金を渡すからイリアを私のモノにしたい」
「………奴隷…という、意味ですか?」
奴隷………。
それは考え方次第だな。
私の願いに従うという意味では奴隷なのかもしれないが、実際の内容的には真逆だろうな。
「奴隷といえば奴隷かもしれない。だが、実際にすることは真逆の意味を持つ。どうだろう?悪いようにはならないから、私を信じてくれないだろうか?」
私は、私がイリアの敵ではないとわかってもらうために優しく聞こえる声音で言った。
「…………わかり……ました。……買われ…ます…」
絶望したような表情をしているから、悪い想像をしたのだろう。
だが、安心してほしい。
もう言質は取ったし、部屋には記録のために書記官と、魔道具の映像も音もバッチリ録れる高性能の物を用意していた。
後は、イリアの両親に用意しておいた金を渡してミッションコンプリートだ。
今日中に終わらせるから、あと少し我慢してくれ。
完全に私のモノになったら、私の本当の目的を話すから………。
いつも暗い顔をしていて、誰かに話しかけてもいつも何かに怯えた瞳をしている。
貴族たちは警戒心が強くて、それぞれがイリアについて調べていたから、イリアの両親の目的を皆知っていた。
当然、私も調べていたから知っている。
私は、個人で店を経営しているから個人財産に余裕があった。
そして、私には願いがあった。
私は、思ったんだ。
…………使えると。
だから、イリアに話しかけた。
私の願いを叶えるために。
まずは、イリアの心と身体をリラックスさせるためにお菓子と紅茶を堪能させた。
おそらく、初めて口にしたのだろう。
イリアの育った環境では、お菓子も紅茶も口にする機会などなかったはずだ。
自分の欲望に忠実な両親が、イリアに優しくなかったのも調べてわかっている。
身体への虐待はなくても、精神への虐待はずいぶんと酷かったらしい。
イリアを手に入れた後に、すぐに医師に診せよう。
必要ならカウンセリングも考えている。
「イリア、突然なんだが……イリアを私に売ってほしいんだ」
イリアのお菓子を食べる手が止まった。
ああ、言い方を間違えてしまった。
イリアが私を怯えた瞳でみつめているから、私は優しく微笑んだ。
「イリアの両親の借金を、私に全額支払わせてほしい。そして、イリアの両親には手切れ金を渡すからイリアを私のモノにしたい」
「………奴隷…という、意味ですか?」
奴隷………。
それは考え方次第だな。
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「奴隷といえば奴隷かもしれない。だが、実際にすることは真逆の意味を持つ。どうだろう?悪いようにはならないから、私を信じてくれないだろうか?」
私は、私がイリアの敵ではないとわかってもらうために優しく聞こえる声音で言った。
「…………わかり……ました。……買われ…ます…」
絶望したような表情をしているから、悪い想像をしたのだろう。
だが、安心してほしい。
もう言質は取ったし、部屋には記録のために書記官と、魔道具の映像も音もバッチリ録れる高性能の物を用意していた。
後は、イリアの両親に用意しておいた金を渡してミッションコンプリートだ。
今日中に終わらせるから、あと少し我慢してくれ。
完全に私のモノになったら、私の本当の目的を話すから………。
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